過去の事務所便り 2022年


10月から始まる社会保険適用拡大への対応はお済みですか? (2022/10/03)


◆従業員数101人以上の会社のパート・アルバイトが厚生年金・健康保険の加入対象に

加入対象は、(1)週所定労働時間20時間以上、(2)月額賃金8.8万円以上、(3)2カ月超雇用見込みがある、(4)学生ではない、の4つに該当する従業員ですが、手取り収入への影響から、働き方を変える人が出てくると考えられます。例えば、加入希望の人がシフトを増やして手取り減を回避したいと言ったり、扶養を外れたくない人がシフトを減らしたいと言ったりするかもしれません。

会社の保険料負担や発生する手続きも気になりますが、従業員が働き方を変えるとシフト編成等に影響が生じる可能性もあります。従業員へのヒアリング等を行い、支障が出ないように準備しましょう。

◆短期パートの適用漏れに注意

上記要件のうち、(3)は当初契約の雇用期間が2カ月以内でも、契約更新等されると、当初から社会保険に加入となります。これまでの「1年超」との要件が撤廃されるため、特に適用漏れに注意が必要です。

年金事務所による調査で適用漏れは厳しくチェックされ、万が一あると保険料の遡及払いが発生し、従業員負担分も含めていったん会社が立て替えざるを得なくなったりします。適正に手続きがされているか、チェックしておくとよいでしょう。

◆雇用保険料率も10月から引上げ

従業員数100人未満の会社も、雇用保険料率の引上げによる影響があります。一般の事業で事業主分が1,000分の6.5から8.5に、労働者分が1,000分の3から1,000分の5に引き上げられます。

特に労働者分は平成29年度以降据え置かれていたため、若い従業員には率が変わるものと認識していない人もいるかもしれません。10月分の給与明細と一緒に、保険料率の変更を案内してあげるとよいでしょう。


最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業 (2022/10/03)


◆令和4年度の地域別最低賃金が改定に

令和4年10月より最低賃金が改定されます(地域により、発効日は異なる)。47都道府県で30円~33円の引上げ(全国加重平均額31円の引上げ)となります。改定後の全国加重平均額は961円(昨年度は930円)で、最高額は1,072円、最低額は853円となります。

厚生労働省と経済産業省は連携して、最低賃金の引上げにより影響を受ける中小企業に対する支援を実施していますので、以下でご紹介します。

◆専門家派遣・相談等支援事業(ワン・ストップ&無料の相談・支援体制を整備)

各都道府県にある働き方改革推進支援センターに配置している専門家が、無料で事業主からの労務管理上の悩みを聞き、アドバイスを行っています。

◆業務改善助成金

生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対して、その設備投資などにかかった経費の一部を助成します。

◆働き方改革推進支援助成金(業種別団体の賃金底上げのための取組みを支援)

中小企業事業主の団体やその連合団体である事業主団体等が、その傘下の事業主のうち、労働者を雇用する事業主の労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組みを実施した場合に、その事業主団体等に対して助成します。

◆その他の支援

その他、日本政策金融公庫では、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げに取り組む中小企業・小規模事業者に対して、設備資金や運転資金を低金利で融資しています(企業活力強化貸付(働き方改革推進支援資金))。


賃金不払残業と解消のための取組事例~厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」より (2022/10/03)


◆企業の賃金不払い

賃金の不払いは、労働者の生活に直結する大きい問題であることから、最も労働基準監督署(労基署)に相談が寄せられやすいものの一つです。「残業時間に対して給与が支払われない」という情報をもとに、労基署から企業に監督指導が実施されるケースは多く、不適切な管理をしている企業は、このような監督指導によって対応を迫られることになります。

◆1企業当たりの遡及支払の平均額は609万円

厚生労働省は、労基署の監督指導により、令和3年度(令和3年4月~令和4年3月)に不払いとなっていた割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100 万円以上である事案をまとめて公表しています。それによれば、1,069企業(前年度比7企業の増)が100万円以上の割増賃金を遡及支払しています。また、1企業当たりの支払われた割増賃金額の平均額は609万円、1,000 万円以上の割増賃金を支払ったのは115企業となっています。

◆賃金不払残業の解消のための取組事例

本取りまとめでは、あわせて賃金不払残業解消のための取組事例も紹介しており、以下のようなものが挙がっています。

  • 各施設の管理者を対象とした労働時間の適正な管理に関する研修会を実施。
  • 適正な労働時間管理に関することを人事評価の項目として新しく設けることや管理者が労働者に労働時間を正しく記録することについて継続的に指導を実施。
  • 管理者が月に2回パソコンの使用記録と勤怠記録の確認を行い、2つの記録に乖離がある場合については、労働者に乖離の理由を確認。


残業時間を過少申告する風潮があることが原因となっている企業は少なくないようです。改めて自社の実態を点検してみてはいかがでしょうか。


最低賃金 過去最大の引上げにどう対応する? (2022/09/02)


◆令和4年度最低賃金は過去最大の引上げ

8月2日、厚生労働省が公表した令和4年度地域別最低賃金額改定の目安は、同審議会公益委員の見解として示された3.3%を基準とした結果、30~31円という過去最大の引上げとなりました。

◆目安を上回る額の改定を決定するところも

これを踏まえて各都道府県の地方審議会における改正の議論が行われ、8月9日までに、27の都道府県で答申もしくは公示が行われています。

このうち、茨城県、兵庫県、佐賀県、熊本県では、中央最低賃金審議会が答申した額を上回る32円の引上げを決定しています。また、北海道のように目安が30円のところ、31円の引上げを決定したところもあります。

◆中小企業向けの支援策は?

一方、中央最低賃金審議会では、企業物価指数が9%超の水準で推移する中で多くは十分な価格転嫁ができず厳しい状況であること、特に中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものとなったとの受止めはされています。

そのため、答申において、中小企業向けの支援策に関する政府に対する要望も盛り込まれています。

◆業務改善助成金の動向に要注目

具体的には、業務改善助成金について、原材料費等の高騰にも対応したものとするなどより実効性ある支援の拡充、また、最低賃金が相対的に低い地域における重点的な支援の拡充等が挙げられています。

具体的な内容はまだ明らかにされていませんが、昨年度は、最低賃金引上げに対応した業務改善助成金特例コースの受付が、令和4年1月13日に開始されました。

最低賃金額の改定は令和4年10月以降となります。こうした支援策の動向にも注目しておくとよいでしょう。

【厚生労働省「令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27195.html


外国人技能実習制度見直しへ (2022/09/02)


◆国際的な批判

技術移転による途上国支援を目的に始まった外国人技能実習制度は、外国人を安価な労働力として使っている実態が指摘され、国際的にも批判を浴びています。

7月19日、米国務省は世界各国の人身売買に関する2022年版の報告書を発表し、その中で日本では外国人技能実習制度の参加者が「強制労働」をさせられているとの報告があると指摘。人身売買に関与した悪質な仲介業者や雇用主の責任を日本政府が追及していないと批判し、4段階評価で上から2番目のランクに据え置きました。

◆実際の状況

7月27日、厚生労働省から「外国人技能実習生の実習実施者に対する令和3年の監督指導、送検等の状況」が公表されました。その概要は次のとおりです。

  • 労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した9,036事業場(実習実施者)のうち6,556事業場(72.6%)
  • 主な違反事項は、(1)使用する機械等の安全基準(24.4%)、(2)割増賃金の支払(16.0%)、(3)労働時間(14.9%)の順に多かった
  • 重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは25件


◆制度見直しの表明

古川法務大臣は7月29日、技能実習制度の見直しに向けた論点を発表しました。年内にも政府の関係閣僚会議の下に有識者会議を設置し、この論点をたたき台にした具体的な見直しの議論に着手する方針です。政府は抜本的な制度の見直しを急ぎます。

発表された論点には、「実習生の日本語能力が不足し、意思疎通が困難」「不当に高額な借金を負って来日する実習生の存在」「技能実習生の保護と、受け入れ先企業の監督を行う監理団体の相談・支援体制が不十分」「転職の在り方」などの問題点が示されました。

技能実習生を受け入れている企業は、制度の見直しを待つまでもなく、まずは法令違反を疑われるような実態がないかの自主点検も必要でしょう。


雇用調整助成金等の不正受給防止対策が強化されています (2022/09/02)


◆会計検査院による是正要求

会計検査院は、雇用調整助成金等と休業支援金等(以下、雇調金等)について多額の不適切受給が発生しているとし、厚生労働省に是正要求を行いました。具体的には、令和2、3両年度に支給決定された雇調金等を対象に検査したところ、33労働局計3億1,719万円について重複支給や二重支給、また不正受給が確認されたということです。厚生労働省には次のような処置を要請しています。

  • 保有するデータを活用するなどして、不適切な支給がないか事後確認すること、その具体的な方法を策定すること等
  • リスクの所在等に十分に留意して実地調査の対象とする事業主の範囲を設定するよう見直しを行い、リスクの程度を適切に評価することにより付した優先度に基づき実地調査の対象とする事業主を選定すること、その具体的な方法を策定すること


◆厚生労働省は対策強化を明言

これを受け、厚生労働省は対策を強化し、不正受給が疑われる場合は規定に基づく措置を行うとあらためて明言しました。今後は上記の要請に従い、事後確認の強化など、より厳密な調査が行われることが予想されます。これまでも事業者や従業員に対して不正受給への注意を促すリーフレット等が公表されていましたが、今一度これらの内容を確認し、万が一にも指摘を受けることのないよう、注意を払う必要があるでしょう。

【会計検査院「雇用調整助成金等及び休業支援金等の支給に関する事後確認の実施について」】
https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/4/pdf/040804_zenbun.pdf

【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」不正受給防止対策を強化します】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000973413.pdf

【厚生労働省「雇用調整助成金不正受給の対応を厳格化しています」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000919896.pdf


新型コロナに係る傷病手当金の支給に関するQ&Aが改訂されています (2022/08/01)


「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」が改訂され、新たに7つのQが追加されました。例えば、次のようなものです。

  • 被保険者が、業務災害以外の事由で罹患した新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)の療養のため、労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
     ⇒傷病手当金の支給対象となりうる。
  • 被保険者の検査は実施していないが、同居家族が濃厚接触者となり有症状になった場合等において、医師の判断により当該被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染していると診断されたため、当該被保険者が労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。
     ⇒傷病手当金の支給対象となりうる。

ほかにも、

  • 傷病手当金の支給申請にあたり、保健所等が発行する「宿泊・自宅療養証明書」の添付は必要か
  • 傷病手当金の支給申請関係書類として「宿泊・自宅療養証明書」が提出された場合に、これを医師の意見書として取り扱ってよいか
  • 被保険者が、新型コロナウイルスの治癒後にも、事業主から感染拡大防止を目的として自宅待機を命じられたため労務に服することができない場合、当該期間について、傷病手当金は支給されるのか
  • 事業主から自宅待機を命じられていた期間中に新型コロナウイルス感染症に感染した場合、傷病手当金の待期期間の始期はいつか
  • 海外で新型コロナウイルス感染症に感染し、医師の意見書を添付できない場合は、何をもって労務不能な期間を判断すればよいか
といった事項について回答が示されています。


【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」 の改訂について】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220705S0010.pdf


令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の概要~厚生労働省調査より (2022/08/01)


◆高年法改正後初の調査

厚生労働省は、令和3年6月1日時点「高年齢者雇用状況等報告」を公表しました。この調査は、従業員21人以上の企業232,059社の60歳以上の雇用状況についてまとめたもので、令和3年4月から70歳までの就業機会の確保(高年齢者就業確保措置)が企業の努力義務となった改正高年齢者雇用安定法の施行後初の調査となります。

◆約25%の企業が70歳までの雇用制度を導入

調査結果によると、高年齢者雇用安定法によって義務付けられている65歳までの高年齢者雇用確保措置(定年制の廃止、引上げ、継続雇用制度の導入のうちのいずれか)を実施している企業は、231,402社(99.7%)でした。

また、70歳までの高年齢者就業確保措置(以下に掲げる措置のうちのいずれか)を実施している企業は、59,377社(25.6%)でした。

  • 定年制の廃止…9,190社(4.0%)
  • 定年の引上げ…4,306社(1.9%)
  • 継続雇用制度の導入…45,802社(19.7%)
  • 創業支援等措置の導入…79社(0.1%)

なお、従業員21~300人の中小企業では26.2%、300人以上の大企業では17.8%が措置を実施しており、中小企業のほうが70歳までの雇用に積極的に取り組んでいることがわかります。

◆60歳以上の常用労働者数は?

本調査における従業員21人以上の企業の常用労働者数(約3,380万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は約447万人(全体の13.2%)でした。年齢階級別に見ると、60~64歳が約239万人、65~69歳が約126万人、70歳以上が約82万人でした。

また、従業員31人以上の企業における60歳以上の常用労働者数は約421万人で、昨年より約11.7万人増加しており、12年前の平成21年と比較すると約205万人増加しています。

【厚生労働省「令和3年「高年齢者雇用状況等報告」集計結果」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/000955633.pdf


企業における社員教育の現状とリスキリング (2022/08/01)


◆教育訓練費用を支出した企業は5割

政府が「人への投資」を進める姿勢を見せるなかで、社員教育にもスポットが当たっているところですが、企業における現況はどのようになっているのでしょうか。

厚生労働省が公表した令和3年度「能力開発基本調査」による企業の教育訓練への費用の支出状況をみると、教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は50.5%となっています。これは昨年と同水準で、近年低下しています。OFF-JTに支出した費用の労働者1人当たり平均額は1.2万円で、こちらも近年は減少傾向にあるようです。

◆能力開発や人材育成に関して問題があるとする事業所が7割以上

同事業所調査によれば、能力開発や人材育成に関して、何らかの問題があるとする事業所は76.4%に上っています。問題点の内訳としては、「指導する人材が不足している」(60.5%)が最も多く、「人材育成を行う時間がない」(48.2%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(44.0%)と続いています。
同調査では、多くの事業所で問題があると感じつつも、対応策がみつからず、企業としても社員教育にあまり積極的ではない様子も読み取ることができます。

◆「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」の策定

厚生労働省は、6月に「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定・公表しています。社会環境の変化、労働者の職業人生の長期化も踏まえ、労働者の学び・学び直しの重要性が高まっているとして、労使が取り組むべき事項、公的な支援策等を体系的に示しています。

最近では社員のリスキリング(人材の再教育や再開発)についても注目が集まっています。このような社員教育は、社員のモチベーションアップや生産性の向上にも寄与するといわれます。今後企業としても検討課題の一つになっていくでしょう。

【厚生労働省「令和3年度「能力開発基本調査」」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000953325.pdf
【厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11801000/000957888.pdf


労災死亡者数、休業4日以上の死傷者数ともに増加~厚生労働省「令和3年の労働災害発生状況」から (2022/07/02)


厚生労働省が5月30日、令和3年の労働災害発生状況の取りまとめを公表しました。労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第13次労働災害防止計画」(以下「13次防」という)(平成30年度~令和4年度)では、29年比で「死亡者数を15%以上」「死傷者数を5%以上」減少させることを目標にしています。

◆死亡者数4年ぶり増加、休業4日以上の死傷者数は平成10年以降で最多

令和3年1月から12月までの労働災害による死亡者数は867人と4年ぶりに増加となりました(前年比65人・8.1%増、平成29年比(以下「29年比」という)111人・11.3%減)。

休業4日以上の死傷者数(以下「死傷者数」という)は149,918人と平成10年以降で最多となりました(前年比18,762人・14.3%増、29年比29,458人・24.5%増)。

新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害での死亡者数は89人(前年比71人・394.4%増)、死傷者数は19,332人(前年比13,291人・220.0%増)と、前年に比べ大きく増加しました。

◆13次防の重点業種の平成29年比および対前年比は、死亡者数は減少、死傷者数は増加

死亡者数は、平成30年から令和2年までの3年間では13次防の目標達成が可能なペースでの減少となっていたものが、一転して13次防の目標を達成できませんでした。13次防の重点業種では、建設業が288人(前年比30人・11.6%増、29年比35人・10.8%減)、製造業が137人(同1人・0.7%増、同23人・14.4%減)、林業が30人(同6人・16.7%減、同10人・25.0%減)となりました。

死傷者数においては、13次防の重点業種では、陸上貨物運送事業が16,732人(前年比917人・5.8%増、29年比2,026人・13.8%増)、小売業が16,860人(同1,519人・9.9%増、同2,979人・21.5%増)、社会福祉施設が18,421人(同5,154人・38.8%増、同9,683人・110.8%増)、飲食店が5,095人(同142人・2.9%増、同374人7.9%増)と前年比で増加しました。

【厚生労働省「令和3年の労働災害発生状況を公表」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25944.html
 

2022年 新入社員の意識~東京商工会議所の調査から (2022/07/02)


◆新入社員が社会人生活で不安に感じること

6月は、4月に入社した新入社員が徐々に職場に馴染み始める時期ではないでしょうか。東京商工会議所は、2022年度新入社員を対象に、就職活動の感想、社会人生活や仕事に対する意識等について調査を実施しています。本調査によれば、社会人生活で不安に感じること(複数回答)として、「仕事と私生活とのバランスが取れるか(55.4%)」、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか(51.4%)」、「仕事が自分に合っているか(49.7%)」が上位に挙がっています。

入社当初は不安が多いものです。周囲も目を配りながらサポートできるとよいでしょう。

◆会社を選ぶうえで魅力に感じる企業制度

本調査では、就職する会社を選ぶうえで魅力に感じる企業の制度についても尋ねています(複数回答)。多いものとして「年次有給休暇取得の推進(42.5%)」、「時差出勤・フレックスタイム制勤務(41.9%)」、「テレワーク(在宅勤務)(36.1%)」など働き方に関するものが挙がっており、その他、「資格(検定)等の取得支援(39.8%)」、「人材育成体系(研修)の充実(38.8%)」など、スキルアップに関する選択肢も上位に挙がっていることが特筆されます。

◆新入社員の意識変化

本調査での「今の会社でいつまで働きたいか」という問に、「定年まで」との回答は23.8%だったそうです。これは10年前の調査との比較では、12.4ポイント減少しており、新入社員の意識変化がみてとれる結果となっています。

新入社員の個性や意識は様々ですが、働く人の意識は年々変化しています。企業も今後の人材確保の意味で、自社の状況を見直して、選ばれる企業を目指すことが肝要でしょう。

【東京商工会議所「2022年度新入社員意識調査」】
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1029600

Internet Explorerのサポート終了で注意しておきたいこと (2022/07/02)


◆2022年6月16日にサポート終了

インターネットブラウザのInternet Explorer(以下、「IE」といいます)のサポートが、6月16日に終了します。

独立行政法人情報処理推進機構によれば、終了後は、マイクロソフト社が定める時点よりIEに代わってMicrosoft Edgeが起動するよう変更され、IEのみで動作するよう作成されたコンテンツをIEで閲覧できなくなります。

◆IEコンテンツがまったく閲覧できなくなる?

サポート終了後も、Microsoft Edgeの「IEモード」を利用すればIEコンテンツを継続して閲覧できますが、こちらも2029 年にサポート終了予定とされていることから、他のブラウザへの移行が必要です。

自社のセキュリティ方針などにより、インターネット利用に際してブラウザが決められていたり、「IEモード」を利用できないよう設定されたりしている場合は、他のブラウザや「IEモード」を利用できるようにする設定の変更が必要です。

◆自社が提供するIEコンテンツの対応は?

また、社内サイトや顧客向けのWebサイトでIEコンテンツを提供している場合、Web標準仕様に準拠して改修し、IE以外のブラウザでも閲覧可能にする必要があります。サポート終了までに改修が間に合わない場合は、「IEモード」で閲覧するよう案内するとよいでしょう。例えば、日本年金機構では電子申請の決定通知書の閲覧について「IEモード」で閲覧するよう案内しています。

近年、ホームページで自社のサービス案内に加え、コンテンツを充実させて情報発信も行うケースが増えています。IEのサポート終了でこれらが利用できなくなると、サービスダウンとの印象も与えかねませんから、チェックしておくとよいでしょう。

【情報処理推進機構「Microsoft 社 Internet Explorer のサポート終了について」】
https://www.ipa.go.jp/security/announce/ie_eos.html

【「日本年金機構からのお知らせ」令和4年5月号】
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/info/oshirase/20140627.files/zenkoku202205.pdf


新入社員が辞める理由は? ~連合 「入社前後のトラブルに関する調査2022」より (2022/06/02)


◆5月は新入社員の退職が増える時期

5月は、ゴールデンウイーク後に「五月病」と呼ばれるように、気分が晴れない症状が出る人が増え、新入社員の退職などもみられる時期です。

新しい環境に飛び込み、張り詰めた気持ちで過ごしていた新入社員の緊張の糸が切れ、会社に不満を持ち始める時期でもあります。

◆「3年以内に3割離職」の現実

日本労働組合総連合会が実施した「入社前後のトラブルに関する調査2022」(調査期間:2022年2月28日~3月2日、大学卒業後に新卒で正社員として就職した全国の入社2~5年目の男女1,000名の有効サンプルを集計)によれば、新卒入社した会社を「離職した(半年以内)」は7.7%、「離職した(半年を超え、1年以内)」は6.2%、「離職した(1年を超え、2年以内)」は10.4%、「離職した(2年を超え、3年以内)」は5.2%、「離職した(3年を超えてから)」は3.7%となっており、よく言われる「3年以内に3割離職」という状況がここでもみられます。

◆新入社員が辞めた理由は?

本調査で会社を辞めた理由を聞いたところ、「仕事が自分に合わない」(40.1%)が最も高くなっています。次いで、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(31.0%)、「賃金の条件がよくなかった」(27.4%)と続き、待遇よりも仕事のミスマッチを挙げる人の割合が多い結果となっています。また、新入社員研修や先輩・上司からの指導・アドバイスがなかった人では、『離職した(計)』の割合は41.9%と、指導・アドバイスがあった人(30.9%)と比べて11.0ポイント高くなっており、周囲の支援による差は大きいことがわかります。

苦労して採用した社員の離職は避けたいものです。新入社員を抱える職場では、周囲の配慮も必要になってくるでしょう。

【日本労働組合総連合会 「入社前後のトラブルに関する調査2022」】
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20220428.pdf?6025


「働き方改革」の効果は? ~労働政策研究・研修機構の調査結果から (2022/06/02)


2018年に法律が成立し進められてきた働き方改革の取組みは、実際にどれくらいの効果があったのでしょうか。

◆変化は「特にない」が約半数

労働政策研究・研修機構が行った「働く人の仕事と健康、管理職の職場マネジメントに関する調査」の結果によると、企業の働き方改革による変化に対する質問では、変化は「特にない」との回答が45.7%(業種平均)に上ります。
「企業の働き方改革の取組みと実労働時間との関係については、働き方改革の効果は依然明確にはなっていないと推察される」として、特に中小企業については、効果が明確に表れたとは言えないようです。
また、事業場外労働のみなし労働時間制により、「サービス残業や持ち帰りの仕事が増えた」、「休憩時間が減った/休憩を取れなくなった」という回答も少なくありません。

◆自身の心掛けのほうが効果的?

他方で、労働者自身が持つワーク・ライフ・バランス確保に対する意識は変わりつつあり、実労働時間を抑制するようです。自分の自由に使える時間が増えるなど、取り組む改革の内容によっては健康維持や睡眠の充足に貢献するようです。

◆コロナ禍による変化

一方、コロナ禍によって、業務のやり方を変えなくてはならなくなったことで、半ば強制的にDX化が進んだ一面があると思います。新型コロナは、ある意味で、政府による働き方改革の取組みより働く人の意識を変える効果があったのかもしれません。
いずれにしても、テレワークをはじめ新型コロナの期間に行った業務改善や、そこで得られた知恵は継続していきたいものです。

【労働政策研究・研修機構「働く人の仕事と健康、管理職の職場マネジメントに関する調査結果」】
https://www.jil.go.jp/institute/research/2022/222.html


在宅勤務の満足度8割超で過去最高に ~日本生産性本部「第9回働く人の意識調査」から (2022/06/02)


公益財団法人日本生産性本部が4月22日、「第9回 働く人の意識調査」の結果を取りまとめ、公表しました。調査は、コロナ禍が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査として、2020年5月以降、四半期ごとに実施しているものです。今回は、4月11、12日に、日本の企業・団体に勤務する1,100人を対象にインターネットによるアンケート形式で実施しました。

◆テレワーク実施率は約2割で推移、在宅勤務の満足度は8割超えで過去最高

テレワーク実施率は20.0%と前回調査の18.5%から微増しています。在宅勤務の効率について「効率が上がった」「やや上がった」の合計は、60.4%。在宅勤務に「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計は84.4%と過去最多となりました。
また、「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」との質問では「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計が71.8%でした。

◆景況感は、現在の景気・今後の景気見通しともに悲観的な見方が増加

現在の景気について悲観的な見方(「悪い」「やや悪い」の合計)は、67.6%で、前回の66.4%より微増しています。今後の景気見通しについても、悲観的な見通しが51.4%と2回連続で増加しています。

◆職場における生産性向上の取組みは、企業規模やテレワークの有無で実施率に差

職場での生産性向上への取組みについては、「業務の進め方の効率化」が52.0%と最多で、次いで「情報共有の推進」(51.8%)「コストの削減」(46.1%)「業務の改廃」(43.6%)と続いています。従業員規模別では、100人以下の中小企業と1,001人以上の大企業とでは、「業務の進め方の効率化」で 20 ポイント以上の差が見られるほか、その他の取組みでも企業規模による差が見られました。

【日本生産性本部「第9回 働く人の意識調査」】
https://www.jpc-net.jp/research/detail/005805.html


令和4年度労働保険の年度更新実務の注意点 (2022/05/01)


◆「年度更新」とは?

会社は、労災保険と雇用保険に加入する義務を負っており、業種や従業員数に応じた保険料を納付することとされています。

保険料の額は毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として計算され、年度ごとに概算で保険料を納付し、年度末に賃金総額が確定した後で精算するという方法がとられています。

この、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが、「年度更新」です。

◆令和4年度は年度途中で雇用保険料率が改定

令和4年3月30日に成立した改正雇用保険法により、令和4年度の雇用保険料率は、年度前半(4月~9月)は3/1,000、年度後半(10月~令和5年3月)は5/1,000とされています(失業等給付に係る雇用保険料率(労使折半))。

そのため、概算保険料の計算を2段階で行う必要があり、例年とは手順の一部が異なります。

◆改正にあわせて様式の記載欄にも変更あり

まず、令和3年度の確定保険料を算定するための「確定保険料算定基礎賃金集計表」に設けられた概算保険料(雇用保険分)算定内訳の記載欄に、雇用保険率の適用期間ごとに賃金総額の見込額を記入する必要があります。

また、申告書の概算・増加概算保険料算定内訳の「⑬保険料率欄」には、年度途中で雇用保険率が変更されることを受け、印字がされていないため注意が必要です。

年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければならず、遅れると追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課されることもあります。不安や疑問点がある場合には、社会保険労務士にご相談ください。

【厚生労働省「労働保険とはこのような制度です」】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/howtoroudouhoken/index.html

【厚生労働省「労働保険の年度更新とは」】
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/kousin.html

【厚生労働省「令和4年度労働保険の年度更新期間について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html


5月は「自転車月間」です! 改めて見直しておきたい企業の自転車管理 (2022/05/01)


◆増えている自転車の業務利用

ご存じですか、5月は「自転車月間」です。

新型コロナウイルスの影響により、「運動不足解消のため」「満員電車の密を避けるため」「在宅の時間が増え、近所で用事を済ませるようになったため」などを理由に、自転車利用が増えています。政府も積極的な自転車利用を推進しているところであり、自転車の通勤や業務での利用を認めるようになったという企業も多いのではないでしょうか。

一方、自転車事故によって他人の生命や身体を害した場合に、加害者が高額の損害賠償を命じられる判決事例も、近年、相次いでいます。業務中・通勤途上の自転車事故については、使用の実態や事故発生時の状況により会社責任が問われることもあり、注意を要します。

◆「保険加入」の確認、できていますか?

特に注意して確認したいのは、自転車保険等への加入です。

被害者救済の観点から自転車保険等への加入促進を図るため、自転車活用推進本部(本部長:国土交通大臣)では「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」を作成・通知して、条例による自転車保険等への加入義務づけを要請しており、令和3年4月1日現在、自転車保険等への加入について、義務とする条例が22都府県、努力義務とする条例が10道県で制定されています。

たとえば東京都では、自転車の利用者に対し、対人賠償事故保険への加入が義務化され、あわせて、自転車を業務で使用する事業者にも同様の義務が課されました。また、自転車を通勤に利用する従業員がいる事業者にも、自転車通勤者が保険に加入していることを確認する努力義務が課されています。

◆リスク管理のために

自転車の業務利用を許可制としている会社は多いと思われますが、許可に際して、対人賠償事故保険に加入しているかを確認することは、リスク管理上、必須といえます。許可基準として、「通勤/業務に使用する自転車に関する事故につき、損害賠償責任の保険金額が無制限の保険を契約していること」などが設けられているか、確認しましょう。


新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者の取扱いの変更 (2022/05/01)


◆コロナ対策の政府方針を変更

厚生労働省は、「B.1.1.529 系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について」(3月16日事務連絡(3月 22 日一部改正))を発出し、また、首相官邸は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を3月17日に改訂しました。それに伴い、事業所等で感染者が発生した場合の濃厚接触者の取扱いが変更になりました。

◆職場での濃厚接触者の特定が不要に

厚労省の事務連絡では、「オミクロン株については、感染・伝播性が高く、潜伏期間と発症間隔が短いため、感染が急拡大し、それに伴い濃厚接触者が急増することから、その全てにこれまでと同様の一律の対応を行うことは、保健所機能そして社会経済活動への影響が非常に大きい」としています。

そのため、同一世帯内以外の事業所等(高齢者や基礎疾患を有する人等、重症化リスクの高い者が多く入所・入院する高齢者・障害者施設や医療機関、保育所(地域型保育事業所および認可外保育施設を含む)、幼稚園、認定こども園、小学校、義務教育学校、特別支援学校および放課後児童クラブを除く)で感染者が発生した場合に、保健所等による積極的疫学調査や濃厚接触者の特定・行動制限は求めないことになりました。

◆待機期間短縮へ

同一世帯内で感染者が発生した場合は、同居する家族は濃厚接触者となり保健所等の指導による行動制限を行う必要があります。濃厚接触者の待機期間は、同居者が発症した日を0日として原則7日間(8日目に解除)ですが、4・5日目の抗原定性検査キットで陰性確認後、5日目から解除が可能となりました(この場合の待機解除の判断について、保健所による個別の確認は不要)。

【厚生労働省「B.1.1.529 系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について」】
https://www.mhlw.go.jp/content/000916891.pdf

【首相官邸「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処⽅針(令和4年3月17日変更)」】
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kihon_r_040317.pdf


「改正育児・介護休業法」実態調査~エン・ジャパン調査より (2022/04/06)


◆「改正育児・介護休業法」、認知度は9割。2022年4月からの適用内容と2022年10月からの適用内容、認知度はそれぞれ73%

「2022年4月から段階的に施行される『改正育児・介護休業法』は知っていますか?」と尋ねたところ、79%が知っている(よく知っている:16%、概要だけは知っている:63%)と回答しました。従業員規模別での認知度は、従業員数300名未満の企業では77%(同:14%、63%)、従業員数300名以上の企業では84%(同:22%、62%)で、大企業での認知が進んでいる実態がわかりました。

また、この法改正によって段階的に施行される具体的な内容について、2022年4月から全企業に対して課される「育児休業を取得しやすい環境整備・個別の周知・意向確認措置の義務化」と「有期労働者の育休取得条件緩和」の認知度は73%(よく知っている:14%、概要だけは知っている:59%)でした。2022年10月からの「産後パパ育休(出生時育児休業)の創設」「育児休業の分割取得が可能になること」の認知度も同じく73%(同:19%、54%)でした。

◆35%が「男性の育児休業の取得実績がある」と回答。従業員数300名以上の企業では59%が男性の育休取得実績あり

育児休業の取得状況について、男女別に伺いました。男性の育児休業について、35%が「取得実績あり」と回答しました。企業規模別では、従業員数300名未満の企業では取得実績があったのは26%でしたが、従業員数300名以上の企業では59%と、大企業の半数以上で男性育休の取得実績があることがわかりました。女性の育児休業は全体で79%、従業員数300名未満の中小企業でも73%が「取得実績あり」と回答。男女の取得実績に40ポイント以上差がある実態がわかりました。

【エン・ジャパン「390社に聞いた「改正育児・介護休業法」実態調査」】
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/28531.html


令和4年4月からの年金制度 (2022/04/06)


年金制度改正法(令和2年法律第40号)等の施行により、年金制度の一部が改正されます。4月からどのように変わるのか見ていきます。

◆繰下げ受給の上限年齢引上げ

老齢年金の繰下げ年齢の上限が75歳に引き上げられます(現在の上限は70歳)。また、65歳に達した日後に受給権を取得した場合についても、繰下げの上限が10年に引き上げられます(現在は5年)。

◆繰上げ受給の減額率の見直し

年金の繰上げ受給をした場合の減額率が、1月あたり0.4%に変更されます(現在は0.5%)。

◆在職老齢年金制度の見直し

60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲が拡大されます(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準が28万円から47万円に緩和。65歳以上の在職老齢年金と同じ基準に)。

◆加給年金の支給停止規定の見直し

加給年金の加算対象となる配偶者が、被保険者期間が20年(中高齢者等の特例に該当する方を含む)以上ある老齢、退職を支給事由とする年金の受給権を有する場合、その支給の有無にかかわらず加給年金が支給停止となります(経過措置あり)。

◆在職定時改定の導入

現在は、老齢厚生年金の受給権者が厚生年金の被保険者となった場合、65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時・70歳到達時)にのみ年金額が改定されますが、在職中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者について、年金額が毎年1回定時に改定が行われるようになります。

◆国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え

国民年金制度または被用者年金制度に初めて加入する方には、「基礎年金番号通知書」が発行されることになります。既に年金手帳を所持している方には「基礎年金番号通知書」は発行されません。

【日本年金機構「令和4年4月から年金制度が改正されました」】
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0401.html


小学校休業等対応助成金の個人申請手続が改善されました (2022/04/06)


◆第6波の影響で小学校休業等対応助成金が期間延長に

新型コロナウイルスの第6波の影響で、多くの小学校や保育園で臨時休校・休園が発生し、働く保護者は子どもの世話をするため仕事を休まざるを得ない状況になりました。厚生労働省は、このような保護者に対して活用できる小学校休業等対応助成金の対象となる休暇期間を6月末まで延長し、個人の申請手続を改善することを公表しました。

小学校休業等対応助成金は、小学校等の臨時休校等により仕事を休まざるを得ない保護者に対して、有給休暇を取得させた事業主に賃金が全額(緊急事態宣言まん延防止等重点措置の実施区域の場合、日額最大15,000円)支給されます。

◆個人申請の場合の手続きの改善

しかし、小学校休業等対応助成金は、昨年の感染拡大時には従業員が事業主に自分で助成金のことを言い出しにくかったり、労働局に直接申請をしても後日労働局から勤め先に確認し同意が得られなければ支給されなかったりしたため、活用が進みませんでした。

このような状況から、本助成金の個人申請の手続きが改善され、労働局の「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」で労働者からの相談内容に応じて、事業主に助成金活用の働きかけを行い、事業主が休業させたことの確認が得られていない場合でも、まずは申請を受け付けることになりました。

また、労働局は事業主に対して、事業主が小学校休業等対応助成金の活用に応じない場合の労働者個人による休業支援金・給付金の仕組みによる申請について、理解と協力を求めるリーフレットを公表しています。詳しくは下記のリーフレットをご確認ください。

【厚生労働省・都道府県労働局リーフレット】
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000909497.pdf

【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html


3月スタート!? 子どもへのコロナワクチン接種でわかっていることとは? (2022/03/03)


◆休園・休校が大幅に増加

感染拡大により、保育所等の全面休園は777(2月3日時点)、公立学校の全面休校は1,114(1月26日時点)となっています。そのため、5~11歳の子どもを新たに新型コロナワクチンの接種対象に加えることが決定されました。

◆早ければ3月頃から接種開始

厚生労働省の1月28日付資料によれば、2月下旬に5~11歳用のファイザー社のワクチンの配分を開始し、予防接種法関係の改正を経て、早ければ3月頃から接種が可能になるとされています。

大人用とは異なる製品が使われるため、混同を避けるためとして、子ども専用の接種会場を設置する自治体もあります。

◆子どものワクチン接種で従業員が休まざるを得なくなったら?

厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)では、子どものワクチン接種では保護者の同伴が原則とされるため、休暇や労働時間の取扱いについて次のような方法を検討してほしいとしています(問21)。

  • 子の看護休暇の周知や要件緩和
  • 失効年休積立制度などの活用


◆「子の看護休暇」とは?

育児介護休業法上、未就学の子を養育する労働者は、申出により、年間5労働日(子が2人以上の場合は10労働日)まで、子の看護または子に予防接種・健康診断を受けさせるために、1日単位または時間単位で休暇を取得できるとされています。事業主は、この休暇の申出を拒むことができません。

3月以降、従業員自身が3回目の接種を受けるケースも増えますから、業務に支障が出ないよう、早めに影響を見極めて対応を検討しておくとよいでしょう。

【厚生労働省「新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について」】
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000888766.pdf

【厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-21

事業復活支援金の申請受付がスタート (2022/03/03)


◆事業復活支援金とは?

事業復活支援金の申請受付が開始されました。新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者に対して、事業規模に応じた給付金が支給されるものです。申請期間は5月31日までとされ、給付上限額は、中小企業で最大250万円、個人事業者で最大50万円です。
以下の1.2.を満たす事業者が、業種や所在地を問わず給付対象となり得ます。

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者
  2. 2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上または30%以上50%未満減少した事業者


◆給付対象外の例

「1.新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者」ではないと判断される例として、以下のものが挙げられています。

  • 実際に事業収入が減少したわけではないにもかかわらず、通常事業収入を得られない時期(事業活動に季節性があるケース(例:夏場の海水浴場)における繁忙期や農産物の出荷時期以外など)を対象月とすることにより、算定上の売上が減少している場合
  • 売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により売上が減少している場合等

そのほか、持続化給付金等で不正受給を行った者、公共法人、風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者、政治団体、宗教法人は給付対象外としています。

◆申請方法

登録確認機関による事前確認の後、事業復活支援金事務局が設置する申請用のWEBページから申請できます。なお、一時支援金または月次支援金の既受給者は、原則として改めて事前確認を受ける必要はありません。また、オンラインでの申請が困難な方向けに、申請のサポートを行う会場が全国に設置されています。

【経済産業省「中小法人・個人事業者のための事業復活支援金」】
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_fukkatsu/

BCP(事業継続計画)に対する企業の意識 (2022/03/03)


◆「オミクロンを機に策定」が約3割

帝国データバンクが行った調査の結果によると、BCP(事業継続計画)を策定していなかった企業のうち28.7%で、新型コロナのオミクロン株拡大を機に策定を検討しているそうです。一方、策定予定のない企業も24.3%となっています。

BCP策定済みの企業は38.0%ありましたが、うち20.6%は見直しの予定はないとのことで、対応にはバラツキも見られるようです。

◆平時において危難のときを思う

オミクロン株については、これまでに比べて持病のある高齢者等以外では重症化する割合は少ないともみられており、これまでの対応のままで様子見という企業も多いのでしょうか。

ただ、BCPは感染症対策だけではなく、災害、システム障害や不祥事といった危機的状況にも備えるものです。コロナ対応が一段落しているのであれば、次の対策にも取り組みましょう。地震・火山噴火等、災厄はまさかというタイミングにこそ起きがちです。平時において危難のときを思う、の心掛けで備えておくべきでしょう。

◆会社の責任として

BCPは、会社が被る甚大な影響を防ぐ目的もありますが、社員の安全配慮義務がある会社の責任として取り組み、状況に合わせて継続的に見直していく必要があります。見直しの過程で、業務の非効率な部分や無駄なものも発見できるかもしれません。

取引先からの信頼が向上したり、税制上の優遇につながったりする場合もありますので、この機会に策定に取り組んでみてはいかがでしょうか。

【帝国データバンク「オミクロン株の感染拡大を踏まえた事業継続計画(BCP)に関する企業の動向アンケート」】
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/oq20220118.php


「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項~厚生労働省 (2022/02/02)


パートやアルバイトを中心に、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態があります。

このような契約には柔軟に労働日・労働時間を設定できる点で当事者双方にメリットがある一方、労働紛争が発生することもあります。厚生労働省が、使用者が現行の労働関係法令等に照らして留意すべき事項を取りまとめましたので、抜粋してご紹介します。

◆シフト制労働契約の締結に当たっての留意事項

① 始業・終業時刻

労働契約の締結時点で、すでに始業と終業の時刻が確定している日については、労働条件通知書などに単に「シフトによる」と記載するだけでは不足であり、労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で、労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等を併せて労働者に交付する必要があります。

② 休日

具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります。

◆シフト制労働者を就労させる際の注意点

① 年次有給休暇

所定労働日数、労働時間数に応じて、労働者には法定の日数の年次有給休暇が発生します。使用者は、原則として労働者の請求する時季に年次有給休暇を取得させなければなりません。「シフトの調整をして働く日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」といった取扱いは認められません。

② 休業手当

シフト制労働者を、使用者の責に帰すべき事由で休業させた場合は、平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要です。

そのほかの詳細は、下記をご参照ください。

【厚生労働省「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項(使用者の方向けリーフレット)」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000870906.pdf


雇用保険マルチジョブホルダー制度がスタート (2022/02/02)


◆雇用保険マルチジョブホルダー制度とは?

令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されました。これは、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。

【適用要件】

  • 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
  • 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること


◆手続きは本人が行うのが原則

マルチ高年齢被保険者であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金を一時金で受給することができます。老後の生活資金や介護費用等のために、利用を検討する労働者もいるかもしれません。ただし、この制度では、マルチ高年齢被保険者としての適用を希望する本人が手続きを行う必要があります。手続きに必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)は、本人から事業主に記載を依頼して、ハローワークに申し出ることになっています。

◆事業主に求められること

労働者から手続きに必要な証明を求められた場合は、速やかに対応しましょう。また、マルチジョブホルダーが申出を行ったことを理由として、解雇や雇止めなどの不利益な取扱いを行うことは法律上禁じられています。マルチジョブホルダーがマルチ高年齢被保険者の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生しますので、制度についてしっかりと理解し、対応していきましょう。

【厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000136389_00001.html

オフィスの湿度、気にしてますか? (2022/02/02)


◆オフィスの湿度に関する規則があります

先ごろ職場のトイレに関する見直し等が行われた「事務所衛生基準規則」ですが、同規則では、部屋の湿度は「40%以上70%以下」になるように努めなければならないと定められています。

ちなみに、この規定は努力義務となっていますが、同規則には違反すると罰則の対象となる規定(大掃除を6か月以内ごとに1回、定期に、統一的に行わなければならない 等)もあります。

◆冬場は特に

労働安全衛生総合研究所によると、東京都が行った調査では特に暖房を使うようになる冬(12~3月)に、40%以上という基準に適合しない企業が多いと報告されています。同研究所が実際のオフィスの湿度測定を行った調査によると、測定場所の30~40%で湿度40%未満と、基準値を満たしていなかったそうです。

◆快適なオフィス環境を

オフィスがひどく乾燥すると、従業員の健康にも影響があります。目の乾燥やかゆみだけでなく、「皮膚の乾燥・かゆみ」、「くしゃみ」、「せき」、「鼻水・鼻づまり」といった症状は、乾燥が原因と考えられます。

コロナ対策として、事務所内ではマスクを着用している場合が多いと思いますが、咳やくしゃみに対して敏感な社会状況ですし、仕事に集中したいときに隣の人が咳やくしゃみをしていると、良い気分ではないですよね。人間関係にも潤いがなくなってギスギスしてきそうです。

換気に心掛けているオフィスは多いですが、ぜひ湿度にも注目して快適なオフィス環境を目指していきたいですね。

【(独) 労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所「冬季のオフィス環境における低湿度の実態と対策について」】
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2014/75-column-2.html


職場のハラスメント防止措置義務化への対応は進んでいますか? (2022/01/05)


◆4月から中小企業もパワハラ防止措置が義務化に

2020年6月1日にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されました。中小企業については、2022年3月31日まではパワハラ防止措置は努力義務とされ、猶予期間が設けられていたところ、いよいよ2022年4月1日から義務化されます。
未対応という会社は、すぐにでも確認をしていきましょう。

◆パワハラ相談件数増加の企業が最多

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が実施した「職場のハラスメント防止に関するアンケート結果」(調査期間2021年9月7日~10月15日、会員企業400社から回答)によれば、5年前と比較した相談件数として、パワーハラスメントに関する相談件数は、「増えた」が44.0%と最も多くなっています。増加の理由として、「法施行に伴う社会の関心の高まり、相談窓口の周知の強化」などが挙げられています。

すでに施行済みである大企業の会員が多い経団連ですが、今後中小企業でも同様のことが予想されます。

◆効果的な取組みの例

本調査によれば、ハラスメント防止・対応の課題について、特に当てはまる上位3つとして、「コミュニケーション不足」(63.8%)、「世代間ギャップ、価値観の違い」(55.8%)、「ハラスメントへの理解不足(管理職)」(45.3%)が挙げられています。これらへの効果的な取組み事例としては、ハラスメントに関する研修の実施、eラーニング実施、事案等の共有、コミュニケーションの活性化のための1on1ミーティングの実施、社内イベントの実施などが挙げられています。ぜひ参考にしてみてください。

【日本経済団体連合会「職場のハラスメント防止に関するアンケート結果」】
https://www.keidanren.or.jp/policy/2021/114.pdf


コロナ禍で導入した制度を見直すのは今 (2022/01/05)


◆時差出勤 変わらず15%程度

公益財団法人日本生産性本部が行った「第7回 働く人の意識調査」の結果によると、時差出勤をした人は15.1%(10月時点)となっています。2020年5月の初回調査でも16%でしたので、大きな変化は見られません。

コロナ禍における時差出勤は、人混みを避けることが大きな理由でしょう。日本ではコロナが沈静化傾向にあり、自社における効果を検証するにはよいタイミングかもしれません。

◆テレワーク浸透の一方…

また同調査では、テレワーク実施率は22.7%とのことです。様々な調査において「テレワークの効果があった」という回答がありますが、業務の効率が高まるというよりは、通勤のストレス・疲労がないことが一番大きな理由のようです。

一方で、社内のコミュニケーションや相談が困難・不便、長時間労働につながる、仕事と生活の境界があいまいになることによる過労など、テレワークのデメリットも指摘されはじめています。指示や相談が一度にできない、チャット等のツールを使うも個々の使い方や習熟度がバラバラで統率が取れない、全員で回していた仕事が一部の人の負担になってしまうなど、社員に聞けば改善すべき点もいろいろと出てくるでしょう。

◆見直すタイミングは今

コロナ禍で取組みを始めたさまざまな施策が、自社での業務効率として実際にはどうなのか、その効果や課題について一旦冷静に分析・判断すべきタイミングは、コロナが落ち着き、気持ち的にも来年に向かいつつある今なのではないでしょうか。
コロナ禍対応に限らず、会社の制度については、調整しながら運用することが重要です。一度導入したらそれきり、という事態は避けたいものです。

社員の働き方を管理する人の重要性はますます高まってきます。社員の意見を反映し、納得感を醸成しながら見直しを進めていきましょう。

【公益財団法人日本生産性本部「働く人の意識調査」】
https://www.jpc-net.jp/research/detail/005529.html


職場における労働衛生基準が変わりました (2022/01/05)


「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」が令和3年12月1日に公布され、職場における一般的な労働衛生基準が見直されました。この改正省令は一部の規定を除き、同日から施行することとされました。
社会状況の変化に合わせすべての働く人々を視野に対応するもので、改正に伴って変更される点は以下のとおりです。

◆照度の作業区分を2区分とし、基準を引き上げ(※令和4年12月1日施行)

現在の知見に基づいて事務作業の区分が変更され、基準が引き上げられました。事務作業における作業面の照度の作業区分は以下のように2区分とし、基準も以下のように引き上げました。

  • 一般的な事務作業(300ルクス以上)
  • 付随的な事務作業(150ルクス以上)

個々の事務作業に応じた適切な照度については、作業ごとにJISZ 9110などの基準を参照します。

◆便所の設備:新たに「独立個室型の便所」を法令で位置付け

便所を男性用と女性用に区別して設置するという原則は維持されますが、「独立個室型の便所」(男性用と女性用に区別しない四方を壁等で囲まれた一個の便房により構成される便所)を付加する場合の取扱い、少人数の作業場における例外と留意事項が以下のように示されました。なお、従来の設置基準を満たしている便所を設けている場合は変更の必要はありません。

  • 男性用と女性用の便所を設けた上で、独立個室型の便所を設けたときは、男性用及び女性用の便所の設置基準に一定数反映させる。
  • 少人数(同時に就業する労働者が常時10人以内)の作業場において、建物の構造の理由からやむを得ない場合などについては独立個室型の便所で足りるものとした。既存の男女別便所の廃止などは不可。


◆救急用具の内容:具体的な品目の規定を削除

作業場に備えるべき負傷者の手当に必要な救急用具・材料について、一律に備えなければならない具体的な品目の規定がなくなり、職場で発生することが想定される労働災害等に応じて、応急手当に必要なものを産業医等の意見、衛生委員会等での調査審議、検討等の結果等を踏まえ、備え付けることとしました。

【厚生労働省「職場における労働衛生基準が変わりました ~照度、便所、救急用具等に係る改正を行いました~」】
https://www.mhlw.go.jp/content/000857961.pdf

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