過去の事務所便り 2014年

多くの企業に影響する「有期雇用特別措置法案」の概要 (2014/12/01)

来年4月1日施行予定

10月29日に、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」(有期雇用特別措置法案)が参議院本会議で可決されまし た。
この法案は、今年の通常国会に提出されたものの成立せず、臨時国会で継続審議となっていたものです。

来年4月1日に施行される予定となっていますが、施行に伴い企業の実務に大きな影響がありそうです。

法案の内容

法案の内容ですが、下記(1)および(2)の者について、労働契約法で定められている「無期転換申込権」発生までの期間(通算5年)に関する特例を設ける(=無期転換させ ない)というものです。

(1)5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く高度専門知識等を有する有期雇用労働者
(2)定年後に有期契約で継続雇用される高齢者

上記(1)の「高度専門職の有期契約労働者」については『一定の国家資格保有者』『年収1,075万円以上の技術者、システムエンジニア、デザイナー』等が想定されていま すが、これらの者を雇用する企業の割合は全体から見るとあまり多くないかもしれません。

しかし、(2)の「定年後再雇用の有期契約労働者」を雇用している企業はかなり多いことと思います。

「計画書」の作成・提出が必要に

企業が、上記の労働契約法に基づく無期転換に関する特例の適用を受けるためには、「対象労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画」(計画書)を作成・提出 して、厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。

計画書にどのような内容を記載するのか、提出すべきタイミングはいつなのか、計画書は毎年提出しなければならないのか等については、今後、厚生労働省令等で明らかになって くるものと思われます。

いずれにしても、実務上、新たな業務が発生することとなりますので、厚生労働省から発表される情報に注目しておく必要があります。

平成26年分の年末調整で注意したい改正ポイント (2014/12/01)

今年気をつけるべきポイントは?

今年の年末調整では、申請様式や税法そのものの大きな改正はありませんが、国民年金法の改正により、4月1日から保険料を2年分前納できるようになったことを受け、この前 納制度を利用した場合の社会保険料控除の方法を押さえておく必要があります。

また、10月20日から、自転車・マイカー通勤している人の通勤手当の非課税制度が改正され、4月1日以降に支給した通勤手当について精算が必要となりますので、注意が必 要です。

2年前納した保険料の社会保険料控除

前納制度を利用した場合、納付した35万5,280円全額が控除対象となり、(1)納付した保険料全額を納めた年に控除する方法、(2)各年分の保険料に相当する額を各年 に控除する方法のいずれかを選択して申告します。

(2)による場合、日本年金機構から送付される社会保険料控除証明書の他に「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」を作成し、併せて提出する必要があります。

この明細書は日本年金機構のホームページからダウンロードでき、年金事務所に申し出て入手することもできます。

また、この場合、平成28年3月分までの保険料を納付することとなり、3年にわたって分割して控除を受けることとなりますので注意が必要で す。

通勤手当の非課税限度額の改正

10月20日より自転車・マイカーを利用して通勤している人の通勤手当の非課税限度額が引き上げられ、4月1日以降に支給した分から適用されることとなったため、対象者の 課税額を年末調整の際に精算する必要があります。

また、年の中途で退職した人については、すでに源泉徴収票を交付済みで、これらの人は確定申告によって精算することとなりますが、4月1日以降に支給した通勤手当がある場 合、改正後の非課税限度額に基づいて「支払金額」を訂正し、再度源泉徴収票を作成のうえ摘要欄に「再交付」と表示して再交付する必要がありま すので、注意が必要です。

パートタイマー用の労働条件通知書が変更されました (2014/12/01)

改正法で労働条件に関する説明を義務化

改正パートタイム労働法が来年4月1日から施行されます。
改正により、事業主は、パートタイマーの雇入れ時や契約更新時に労働条件(賃金の決定方法、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員転換 等の措置内容等)について説明する義務を負うこととなります。

パートタイマーを同時に複数雇い入れたりする場合には、個々に説明する方法ではなく対象労働者を集めて説明会を開催する等の方法によって説明することも認められますが、労 働条件は文書等(電子メールやFAXでも可)によって交付しなければならず、これに違反した場合は10万円以下の過料に処せられます。

労働条件通知書の変更箇所は?

今般、厚生労働省が示すモデル労働条件通知書の様式が法改正に合わせて変更となり、同省のパンフレット「パートタイム労働法のあらまし」に掲載されています。
具体的には、新たに「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を記載するスペースが設けられました。

この「相談窓口」は、改正法により、パートタイマーからの相談に対応するための体制整備が事業主の義務とされたため、パートタイマーを雇い入れているすべての事業主が対応 にあたる担当者または担当部署を決定して、整備しておかなければなりません。

労務管理に関する疑問は早めに相談を

「平成26年版労働経済白書」によれば、2013年の非正規労働者の割合は36.7%で、10年前と比較して6%増え、人数で見ると約400万人増加しています。

非正規労働者の増加に伴い、正社員との労働条件の差異等について不公平感を感じるパートタイマーと事業主の間でトラブルとなるケースが増えており、パートタイム労働法が改 正された大きな理由の1つはこの問題を解消するためです。

来年4月1日の施行を控え、パートタイマーの労務管理に関する疑問や不安がある場合は、早めに専門家に相談し、トラブルの予防に努める必要があると言えます。

厚労省が「過重労働解消キャンペーン」を実施 (2014/11/03)

今年11月に実施

厚生労働省では、9月30日に設置した「長時間労働削減推進本部」の決定を踏まえ、11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施すると発表 しました。

近年、長時間労働に伴う残業代の未払いや従業員の健康問題が労使トラブルの主要な原因の1つとなっていますが、キャンペーン実施による長時間労働の削減と労使トラブルの減 少が期待されます。

キャンペーンの内容

6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂2014」に「働き過ぎ防止の取組強化」が盛り込まれ、同月に「過労死等防止対策推進法」が成立するなど、長時間労働対策の強化が 重要課題となっています。

そこで、同キャンペーンでは、主に以下の取組みが予定されています。

(1)労使の主体的な取組みの促進
キャンペーンの実施に先立ち、使用者団体や労働組合に対し、厚生労働大臣、副大臣、大臣政務官による協力要請を行う。

(2)重点監督の実施
若者の「使い捨て」が疑われる企業や長時間の過重な労働による過労死などに関して労災請求が行われた事業場などへ監督指導を行う。

(3)電話相談の実施
11月1日に「過重労働解消相談ダイヤル」(無料)を全国一斉に実施し、都道府県労働局の担当官が相談に対応する。

(4)企業における自主的な過重労働防止対策の推進
企業の労務担当責任者などを対象に、全国8カ所(北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、香川、福岡)で計10回、「過重労働解消のためのセ ミナー」(委託事業)を実施する。

リーフレットのダウンロード
なお、厚生労働 省のホームページ (http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000060042.html) では、キャンペーンに関連したリーフレットをダウンロードすることができます。

健康保険の手当金不正請求防止のため、算定方法見直しへ  (2014/11/03)

見直しの対象となる給付は?

現在、厚生労働省で健康保険の海外療養費・傷病手当金・出産手当金の見直しについて議論されています。

問題となっているのは「不正請求」です。

昨年5月31日施行の改正健康保険法で、協会けんぽに事業主への立入調査権が認められましたが、不正請求が疑われるケースが依然として多いことから、防止策を講じるため、 来年の通常国会に改正案が提出される見通しです。

調査結果に見る傷病手当金受給者の状況

今年7月7日付で協会けんぽが公表した調査結果「全国健康保険協会(協会けんぽ)傷病手手金受給者の状況について」によれば、2013年は「精神および行動の障害」が受給 原因の25.7%を占め、1998年と比較して5倍以上増加しています。

支給回数では「1回」が32%で最も多い一方、「11回以上」が15%で2番目に多くなっています。11回以上申請する人の傷病別構成割合を見ると、40.4%を「精神お よび行動の障害」が占めています。

なお、平均支給期間も「精神および行動の障害」が「220日」と最も長くなっています。

近年、精神疾患により休職する労働者の増加が懸念されていますが、医療保険財政においても、保険料負担増につながりかねない問題となってい ます。

不正請求の手口と見直しの内容

傷病手当金・出産手当金の不正請求で多いのは、報酬を水増しして申請するケースや、雇用実態のない者からの請求です。

そのため、報酬の水増しに対しては、休職直前の月の報酬を算定の基礎とする現行の方法から、直近1年分を見る方法へと変更する案が出ていま す。

また、雇用実態のない者からの請求に対しては、被保険者期間1年未満の者の算定の基礎を見直す案が出ています。

海外療養費については、渡航事実がないにもかかわらず請求するケースが見受けられ、対策として、支給申請時にパスポートの写し等を添付させる案が出ています。

「マイナンバー制度」に関する企業の対応状況は? (2014/11/03)

約7割の企業がまだ準備を始めていない!

株式会社アイ・キューが運営する人事ポータルサイト「日本の人事部」では、全国のビジネスパーソンに対して「マイナンバー制度」に関するアンケート調査を実施しました。

「マイナンバー制度への対応状況」について聞いたところ、「まだ準備を始めていない」という回答(69.6%)が圧倒的に多く、「自社内での対応を検討している」 (14.4%)、「すでに準備を始めている」(5.6%)、「アウトソーシングでの対応を検討している」(2.4%)など、何らかの動きを見 せている企業が非常に少ないことがわかりました。

中には「特に準備をする予定はない」(8.0%)と回答する企業もあったようです。

マイナンバー制度とは?

「マイナンバー制度」は、日本国民と日本に居住する外国人1人ひとりに番号を割り振り、所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を一括管理する制度で、2016年1月か ら利用がスタートします。

これまで国や市町村などがバラバラに管理してきた個人情報を連携させ、相互利用を可能にすることで、国民の利便性を高めると同時に行政の透明化・効率化を図ることが同制度 の目的です。

民間企業でも、社会保障・税務関連の諸手続きにマイナンバーを利用することになりますが、システム変更および厳格な情報管理体制の構築が必 須となります。

「番号収集」と「情報漏えい」を懸念

アンケートで「マイナンバー制度に対応するうえでの課題」について聞いたところ、「従業員からのマイナンバーの収集」(28.0%)が最も多く、「個人情報の管理体制の強 化」(26.8)が続きました。

情報管理の煩雑さと情報漏えいのリスクを懸念する企業が多いようで、「漏えいした場合の影響は従来の人事・給与データ以上のものになる」、「基幹系システムに与える影響は 大きくコストもかかりそう」などの声が聞かれました。

また、「マイナンバー制度による影響・効果」について聞いても、「情報の一元管理による利便性の向上」(8.0%)、「各種事務処理の効率化、省力化」(5.3%)など、 その効果を期待する声もあったようですが、「情報漏えいのリスクの発生」(38.7%)との回答が最も多く、不安の方が大きいことがわかりま した。

制度の内容についてはもちろんのこと、導入による効果やメリットを企業側でもしっかりと認識し、2016年1月のスタートに向けて準備を進めていく必要がありそうです。

改正安衛法で義務付けられた「ストレスチェック」に関するQ&A (2014/10/01)

84の「Q&A」

先の通常国会で成立した改正法の1つに「改正労働安全衛生法」(6/25公布)がありますが、これに関連して、厚生労働省から「改正労働安全衛生法Q&A集」が公 開されました。

改正項目のうち最も影響の大きいものは「ストレスチェック制度の創設」だと言われており、上記「Q&A集」でも84のうちの36(約43%)を占めています。

ストレスチェックに関するQ&A

以下では、Q&A(抜粋)をいくつか見てみましょう。

【全ての事業場が対象となるのでしょうか?】
→ストレスチェックの実施が義務とされるのは、従業員数 50 人以上の事業場とされており、50 人未満の事業場については、当分の間、実施が努力義務とされています。

【全ての労働者が対象となるのでしょうか?】
→ストレスチェックの対象労働者は、一般健康診断の対象労働者と同じく、常時使用する労働者とする予定です。なお、派遣労働者については、派 遣元事業主において実施していただくことになります。

【どれくらいの頻度で実施すれば良いのでしょうか?】
→今後、労使や専門家のご意見を聴きつつ省令で定めていくことにしていますが、健康診断と同様に、1年以内ごとに1回以上実施していただくこ とを想定しています。

【健康診断のように、実施を外部機関に委託しても問題ありませんか?】
→問題ありません。委託により実施する際には、ストレチェックの結果を実施者から直接労働者に通知する必要があり、労働者の同意なく事業者に 通知してはならないことなどの点に注意してください。

【ストレスチェックは面談形式で行うものですか?】
→労働者の心理的な負担の程度を把握するため、労働者自身が該当する項目を選択するチェックシート方式で行う検査です。面談形式に限ることは 想定していません。

【健康診断のように、ストレチェックを実施した旨の報告を監督署に行う必要があるのでしょか?】
→ストレチェックの 実施状況を把握するため、事業者には、労働基準監督署にその実施状況について報告していただく仕組みを設けること考えています。

施行予定は来年12月?

今後は、平成27年2月~3月頃に省令・指針等が策定され、平成27年12月までに改正法(ストレスチェックの部分-従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務 とする)が施行される予定です。

雇用保険の教育訓練給付金が拡充!
「専門実践教育訓練給付金」について (2014/10/10)

「専門実践教育訓練給付金」創設

雇用保険の教育訓練給付金が拡充され、10月から新たに、専門性の高い資格取得について、「専門実践教育訓練給付金」が創設されます(2018年度末までの期間限定)。

対象は、厚生労働大臣が指定する、業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする資格取得講座、中長期的なキャリア形成を支援する講座(企業などとの連携により最新の 実務知識等を身につけられるよう教育課程が編成されている専門学校の職業実践専門課程、キャリアアップを目的とした専門職大学院)で、対象講 座は今後も増える見通しとなっており、支給対象となる社員等も出てくるのではないかと思われます。

要件を満たせば、給付率が従来の「一般教育訓練給付金」(費用の20%、上限10万円)よりも大幅にアップしますので、制度の紹介をすれば喜ばれるのではないでしょうか。

支給対象者は?

雇用保険に原則10年以上加入している方が利用できます。

給付の内容は?

最長3年間にわたって支給され、給付率は費用の40%(上限:1年で32万円)です。
講座修了後に資格や学位を取得して就職すると、費用の原則20%が追加支給され、合計で費用の60%分が支給されることとなります(上限:1 年で48万円)。

申請手続は?

専門家のキャリア・コンサルティングを受け、受講前にハローワークで手続きを行います。

給付金の申請は半年ごとに行い、その都度、講座実施期間が発行する受講証明書等を提出する必要があります。

従業員の「デング熱感染」に備えて知っておきたいこと (2014/10/01)

「デング熱」ってどんな病気?

現在感染者が拡大しているデング熱は、ヒトスジシマカという蚊によってウイルスが媒介される感染症で、ヒトからヒトへと感染することはあり ません。

ヒトスジシマカは、秋田県および岩手県以南に生息しているため、日本のほとんどの地域で感染するおそれがあると言えますが、感染しても発症しないこともあります。

デング熱にかかるとどんな症状が出る?

感染すると、3~7日後に突然38度以上の高熱が出て、頭痛のほか、目の奥の痛み・筋肉痛・関節痛を伴うことが多くあります。

また、発熱後3~4日で胸やお腹に赤い痛みを伴う発疹が出て、次第に手足や顔面に広がります。

通常は1週間ほどで熱が下がり回復へと向かいますが、まれに出血症状が起こり、重症化することがあります。この場合、適切な治療を受けないと死亡に至る可能性もあります。

現在、デングウイルス特有の治療薬はなく、対症療法が基本となりますが、解熱剤としてはアセトアミノフェンを用いるのが一般的であり、出血傾向を増強するおそれがあるアス ピリンの使用は避けます。

従業員が感染したら?

デング熱は、インフルエンザのようなヒトからヒトへの感染はなく、デングウイルスに感染したヒトスジシマカを介して感染します。

そのため、社内で感染者が出たからと言って職場封鎖のような対策をとる必要はありませんが、感染者が蚊に刺されると他の人へと感染が拡大するおそれがありますので、蚊に刺 されないようにする必要があります。

予防に取り組む場合は、肌の露出を避けた服装をしたり虫よけスプレーなどを用いたりして刺されないようにするとともに、不要な水たまりをなくしてボウフラの発生そのものを 抑え込むことが有効です。

8月1日より失業給付の支給額が変わりました (2014/09/01)

2013年より若干の引下げ

離職者に支給される雇用保険の失業手当の額は、毎年、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって毎年8月1日にその額が変更されますが、2014年度は、2013年 度の平均定期給与額が前年比で約0.2%減少したことから、全体に若干の引下げとなりました。

変更後の支給額

失業手当の日額は年齢に応じて上限額が定められており、下限額は全年齢共通で定められています。
上限額は、29歳以下の方は6,390円(15円減額)、30~44歳の方は7,100円(15円減額)、45~59歳の方は7,805円 (25円減額)、60~64歳の方は6,709円(14円減額)となっています。

下限額は、1,840円(8円減額)です。
なお、実際に支給される日額は、離職時の賃金日額に50~80%の給付率を掛けて算出されます。

失業手当は、失業認定期間(28日)中に自己の労働による収入がある場合、収入を得た日については減額支給されることとなりますが、この控除額も1,286円(3円減額) と、引き下げられています。

就業促進手当の上限額も引下げ

再就職手当・常用就職支度手当の算定における失業手当の日額の上限額は、59歳以下の方は5,825円(15円減額)、60~64歳の方は4,720円(9円減額)となり ます。

就業手当の1日当たり支給額の上限額は、59歳以下の方は1,747円(5円減額)、60~64歳の方は1,416円(2円減額)となりま す。

高年齢雇用継続給付の算定に係る支給限度額も引下げ

高年齢雇用継続給付の支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は各月の賃金の15%相当額、60歳時点の賃金の61%超 75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて各月の賃金の15%相当額未満の額となり、支給限度額を超えて賃金が支給された場合には支給 されません。

この支給限度額が、340,761円(781円減額)となっています。

人手不足の影響? 変わりつつある転職の常識 (2014/09/01)

転職成功者の平均年齢が過去最高に

株式会社インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が、同社のサービスを利用したビジネスパーソン約7万人に対し、「転職をした年齢」について行っ た調査によると、2014年上期の転職成功者の平均年齢は31.7歳(前期比0.6歳増)で、調査を開始した2007年以来、過去最高を更新 したとのことです。

また、転職成功者の年齢割合では、「35~40歳」(13.9%)、「40歳以上」(11.2%)がそれぞれ上昇傾向にあり、35歳以上の転職成功者の割合は初めて25% を超えたようです。

転職経験の多い人の成功者が増加

また、同社が2013年度に「DODA(デューダ)」を通じて転職をした人の転職回数を調べた調査結果によると、「初めて」の人が53.0%で最多となり、次いで「1回 目」(24.3%)、「3回目」(12.7%)の順になったようです。

年齢別に転職した人の割合を見ると、34歳以下では、転職経験が「初めて」で転職に成功した人が最多となっていますが、35歳以上では、2007年から2012年までは 「2回目」が最多となり、2013年には「4回以上」が最多となったようです。

30歳以上で「3回目」「4回目以上」の割合が大きく増加しており、かつての「転職回数が多いと不利」という転職の常識が変わりつつあるよ うです。

転職回数の多さ、年齢の高さは厭わない

上記の調査結果を受け同社は、転職市場の活性化に伴い、企業は必要な人材の確保に頭を痛めており、経験や実績が合致していれば転職回数を問わないというケースが多くなって いる、としています。

また、業績の好調を受け、事業課題を解決できる人材を採用したいと考える企業では、即戦力として期待される35歳以上の採用ニーズが高まりを見せているようで、これまでは 転職回数が多い人の採用を敬遠する企業もありましたが、転職回数が多くとも、その在籍企業で出した成果がわかれば、「変化に柔軟で環境が変 わっても成果が出せる」「自社でも同様に成果をあげてくれるのでは」という期待に繋がり採用に至っている、としています。

トピックス (2014/09/01)

所定内給与が2年3カ月ぶりに増加(7月31日)

厚生労働省が6月の「毎月勤労統計調査」の結果を発表し、所定内給与が平均24万3,019円(前年同月比0.3%増)となり、2年3カ月ぶりに増加したことがわかった。 残業代に相当する所定外給与が1万9,058円(同1.9%増)で、15カ月連続で増加した。

日本人の喫煙率が初め20%以下に(7月30日)

日本たばこ産業(JT)が2014年の「全国たばこ喫煙者率調査」の結果を発表し、日本人の喫煙率が19.7%(前年比1.2ポイント減)となり、19年連続で過去最低を 更新したことがわかった。1965年の調査開始以来、初めて20%以下となった。

2014年度の最低賃金は全国平均で16円上げ(7月30日)

中央最低賃金審議会(厚生労働大臣の諮問機関)は、2014年度の最低賃金を全国平均で780円(前年度比16円増)とすることを決定した。引上げ幅は前年度を1円上回り 4年ぶりの大きさとなった。今後各都道府県の最低賃金審議会が地域ごとの最低賃金を決定し、10月から適用される見通し。

「固定残業代」導入企業の約9割が求人票に不適切記載(8月9 日)

「固定残業代」を導入している企業がハローワークに出した求人票のうち、約9割に不適切な記載(残業時間等の不明記を含む)があったことが、「ブラック企業対策プロジェク ト」の調査でわかった。同プロジェクトは、長時間労働の温床になっているとして、実態調査を進めるよう厚生労働省に申入れを行った。

換気装置の設置も「受動喫煙防止対策助成金」の交付対象に  (2014/08/04)

安衛法の改正に伴う交付要領の改正

2014年6月25日に改正労働安全衛生法が公布され、事業者は、労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者および事業場の実情に応じ適切な措置を講ずる努力義務が課せ られるとともに、国も必要な援助に努めることとされました。

これにより、7月1日付けで「『受動喫煙防止対策助成金の支給の実施について』の一部改正について」という文書が出され、一定の要件を満たす換気装置を設置する事業所等 も、本助成金の交付対象とされることとなりました。

改正により新たに交付対象となったのは?

改正前の本助成金は、2014年5月16日の交付要領改正により、一定の要件を満たす中小事業主を対象として、事業場内において、喫煙室以外をすべて禁煙とし、一定以上の 基準を満たす喫煙室を設置する場合に、その設置費用の一部を助成するものとされていました。

しかし本改正により、上記以外の受動喫煙防止措置として、一定の要件を満たす換気装置の設置等の措置を講ずる場合の、工費、設備費、備品費および機械装置費等も交付対象と なりました。

交付対象となる換気装置の要件は?

飲食店等では、客席を「喫煙スペース」と「禁煙スペース」とに分ける分煙措置による受動喫煙防止措置が取られていることが多くありますが、そうした喫煙スペースにおいて、 喫煙区域の粉塵濃度が「1立方メートル当たり0.15ミリグラム以下」となるよう設計されていること、または客席がある喫煙区域における1時 間当たりの必要換気量が「客席数×70.3立方メートル」となるよう設計されている場合に、交付対象となります。

メンタルヘルス支援会社の産業医紹介サービスが拡大中 (2014/08/04)

ストレスチェックの義務化

先日、労働安全衛生法の改正案が成立し、医師、保健師などによるストレスチェックの実施が事業者に義務付けられることになりました(従業員50人未満の事業場については、 当分の間努力義務)。

これにより、企業は社員が精神疾患を発症する前に対策をとることが求められます。

産業医の紹介サービス

こうした流れを受け、次のような企業のメンタルヘルス対策を支援するサービスが拡大中のようです。

  • 企業が求める診断能力を持つ産業医を紹介するサービス
  • グローバル化に対応し、英語版のストレスチェックを提供するサービス
  • 独自のストレスチェックテストで問題があった場合に産業医を派遣するサービス

産業医との相性も大事

従来から50名以上の労働者を雇用している事業場は、産業医による毎月の訪問、労働者の健康管理指導の実施が必要ですし、月80時間超の残業をした労働者等がいる事業場 (50名未満の事業場も含む)では、労働者の疲労の程度を把握し、本人の申出により医師の面談を実施する義務があります。これらに違反する場 合は行政指導の対象となります(罰則もあり)。

多くの企業では、もちろん産業医の選任は行っているのでしょうが、近年のメンタルヘルス不全による職場の問題への対応が重要になってきた流れを受け、自社が求めるものと産 業医との相性が合わないケースも増えてきたようです。

精神疾患による労災件数

過労や職場でのいじめにより「うつ病」などの精神疾患を発症したとして労災申請をした人数は、2013年度には1,409人となり、過去最多を更新しました。また、実際に 労災認定された人は2年連続で400人を超えています。

メンタルヘルス不全や精神疾患の発症を招かないためには、事前の対策が重要です。長時間労働や過重労働は、日ごろの労務管理で対応し、併せてこのようなサービスを利用する ことも検討すべきでしょう。

「多様な正社員・限定正社員」を活用すべきケースとは? (2014/08/04)

厚労省分科会の配布資料

日本版ホワイトカラーエグゼンプションなど、今後の労働時間規制の緩和に関する議論が厚生労働省労働政策審議会(労働条件分科会)で始まり ました。

7月7日開催の分科会で配付された「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会における議論の状況」という資料の中で、「多様な正社員」の活用が考えられるケース 等が挙げられていましたので簡単にご紹介します。

活用が考えられるケース

「多様な正社員」とは、「限定正社員」とも呼ばれ、主に「勤務地」「職務」「勤務時間」などが限定された社員のことを指します。

活用が考えられるケースとして、勤務地限定正社員については、「育児、介護等の事情により転勤が困難な者や地元に定着した就業を希望するケース」「改正労働契約法のいわゆ る無期転換ルールによる転換後の受け皿として活用するケース」等が挙げられています。

職務限定正社員については、「金融・IT などで専門性が高く特定の職能内でのプロフェッショナルとしてのキャリア形成が必要なケース」、また、勤務時間限定正社員については、「育児、介護等の事情により長時間労 働が困難な者が就職・就業を継続し、能力の発揮が可能なケース」等が挙げられています。

導入にあたっての課題

すでに突入しつつある慢性的な人手不足の時代において、「多様な正社員・限定正社員」の活用が非常に大きな役割を果たすと言われています。

ただし、多様な正社員制度の導入にあたっては、制度が労働者の納得を得られるように努めるとともに、制度を円滑に運用できるようにするために労働者に対する十分な情報提供 と十分な協議が必要だと指摘されています。

管理職のマネジメントも重要

なお、多様な働き方を円滑に進めるためには、職場における管理職のマネジメント能力の向上が不可欠であることも指摘されています。

近年、管理職の"プレイングマネージャー化"が進展していますが、十分なマネジメントが実現するような能力向上が図られるよう、各職場の実情に即した対応が求められていま す。

「改正パートタイム労働法」省令や指針に注意!  (2014/07/01)

改正パートタイム労働法の概要

4月23日に公布された改正パートタイム労働法(以下、「改正法」)では、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他待遇の面で正社員との差別的取扱いが禁止 されるパート労働者の範囲の拡大、また、待遇の決定についてパート労働者の納得性を高めるために行う雇入れ時の説明義務等が規定されました が、これらの具体的な取扱いは省令や指針に規定されます。

現在、厚生労働省(労働政策審議会雇用均等分科会)において、省令や指針の見直しの議論が進められており、実務への影響が大きいことからその行方が関心を集めています。

「一律〇円」による通勤手当の支給は要注意?

改正法10条1項は、正社員との均衡確保の努力義務の対象となる賃金について「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く」と規定していますが、「職務に 密接に関連して支払われるもの」については均衡確保の努力義務の対象となるよう、省令が見直される予定です。

雇用均等分科会の資料では、「距離や実際かかっている経費とは関係なく一律の額で通勤手当として支払っているような場合については、職務関連として整理されるのではない か」とされており、7月下旬に公布される予定の改正省令でどのように規定されるか、注意を要します。

苦情等相談窓口の設置および周知について

改正法では、上記の通り、雇入れ時の事業主による説明義務が規定されるとともに、16条で、パート労働者からの相談に応じるための体制の整備を義務付けています。

これにより設置される相談窓口が、改正省令では雇入れ時に文書交付等により明示すべき事項に追加される見通しですので、体制の整備だけでなくその周知も行わなければならな いこととなります。

人手不足産業でも採用できた事業所とできなかった事業所の違い  (2014/07/01)

医療・福祉、建設業における人手不足が深刻

厚生労働省が発表した「人手不足産業における高卒求人の充足状況」によると、平成25年度の高卒者向け求人は、製造業、医療・福祉、建設業、卸売・小売業などで多かったで すが、これらの産業の充足率をみると、医療・福祉で31.3%、建設業で34.2%と低く、人手不足の深刻化による充足率の向上が課題となっ ています。

採用できた事業所・できなかった事業所の差は?

充足率が低かった医療・福祉と建設業において、高卒求人票を用いて採用できた事業所とできなかった事業所の違いをみると、医療・福祉では、早期(平成25年7月末まで)に 求人を出した事業所の割合が、採用できた事業所で77.2%、採用できなかった事業所で 58.7%となり、差が見られました。

また、求人票に「採用・離職状況」の記載があった事業所の割合は、採用できた事業所で73.6%、採用できなかった事業所で60.4%と なっています。
建設業でも、早期に求人を提出した事業所の割合については、採用できた事業所(69.2%)が採用できなかった事業所(45.1%)を大きく 上回りました。

これらのことから、「早期の求人提出」、「求人票における積極的な情報提供」が充足に大きな影響を与えている要因と考えられます。

なぜ人が集まらないのか?

高校の進路指導担当教諭に対して、充足率の向上が課題となっている3産業(建設業、医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業)に生徒が応募しない理由を聞いたところ、宿泊業・ 飲食サービス業では、「休日が少ない・労働時間が長い・勤務時間が不規則等、労働時間の問題」、建設業と医療・福祉では、「仕事がきつそう・ 面白くなさそう等、仕事内容(職種)の問題」という回答割合が高かったようです。

充足率向上のために必要な改善点

必要な改善点について、高校の進路指導担当教諭からの意見をまとめると、「医療・福祉」では、給与・休日・労働時間等労働条件を改善し、社会的評価・イメージを向上させる 取組み、日勤・夜勤といった就業規則が不規則でも生活のリズムが崩れない配慮、OJTの充実と資格取得までの制度や支援の充実などが挙げられ ました。

「建設業」では、将来性やスキルアップのビジョンを示すことや、3Kのイメージを払拭する取組み、労働条件の改善、「宿泊業・飲食サービス業」では、長時間拘束される労働 条件改善のための交代制シフトの導入や正社員としての仕事内容とキャリアアップの将来像を示すことなどが挙げられました。

「介護」と「仕事」を両立させるために企業ができることは?  (2014/07/01)

職場環境の整備が重要な課題に

近年、親や家族などの介護を理由として仕事を辞める「介護離職」が増加し、大きな問題となっています。

総務省の平成25年発表によると、介護離職する方は年間10万人以上。この中には、企業内で中核的な人材として活躍する方も少なくなく、こうした人材の離職を防止するため に、労働者が「介護」と「仕事」を両立できる職場環境の整備が、企業にとって重要な課題となっています。

政府の対応

団塊世代が70歳代に突入する2017年前後からは介護離職者のさらなる増加が予測されるため、厚生労働省では、介護と仕事を両立できる職場モデルの普及に着手し、労働者 の継続就業を促進しています。

具体的には、民間企業100社に報奨金を出し、同省が委託するコンサルティング会社が両立支援の制度化に向けた助言を行ってその結果を普及・啓発に活かすこと、また、介護 離職防止のシンボルマークを制定して取組みの普及・推進を図ることなどが進められています。

企業ができること

このような動きの中、企業側も、介護と仕事の両立への支援を始めています。
例えば、介護情報をまとめたハンドブックの作成・配布、セミナーの開催、両立のモデルケースの情報発信……。

介護は、いつ誰が直面するかわからないからこそ、企業側から早めに働きかけ、情報を提供し、社員との間で問題意識の共有を図ることが重要な取組みとなると言えます。

社員にいざ介護の問題が発生した場合に慌てずに適切な対応をとることができるよう、取組みを始めるべき時期にきていると言えるでしょう。

改正安衛法案に盛り込まれている「ストレスチェック」実施による企業への影響  (2014/06/02)

改正法案の内容

今国会で成立する見込みの「改正労働安全衛生法案」ですが、その主な内容は次の通りとなっています。
  1. 化学物質管理のあり方の見直し
  2. ストレスチェック制度の創設
  3. 受動喫煙防止対策の推進
  4. 重大な労働災害を繰り返す企業への対応
  5. 外国に立地する検査機関等への対応

「ストレスチェック制度」の概要

上記1.~5.のうち、最も注目されている項目は2.の「ストレスチェック制度の創設」ですが、その内容は次の通りです。

  • 労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師・保健師等によるストレスチェックの実施(希望者のみ)を事業者に義務付ける。た だし、従業員50人未満の事業場については当分の間努力義務とする。
  • ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、 医師の意見を聴いたうえで、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。

改正法案成立に伴う企業への影響

改正法案が成立した場合、企業にはどのような影響があるのでしょうか?
まず、ストレスチェックは健康診断の際に行われることが想定されるため、健診項目が増えることにより健診にかかる費用がアップする(企業の負 担が増える)ことが考えられます。

また、今まで潜在化していた従業員の精神疾患(うつ病など)がストレスチェックの実施を契機に顕在化することも考えられますので、これらの 従業員への対応(労働時間の短縮、担当業務の見直し、休職制度の適用、労災申請への対応等)が迫られる可能性もあります。

いずれにしても、施行日(ストレスチェック制度の創設については「公布から1年6カ月」)に向け、対応を検討しておくことが必要だと言える でしょう。

「非正規社員の正社員化」の動きと「限定正社員」 (2014/06/02)

小売、流通、外食を中心に増加

先日、衣料専門チェーン「ユニクロ」を運営する株式会社ファーストリテイリングが、現在約3万人いるパート社員・アルバイト社員のうち、半数以上の約1万6,000人を今 後2~3年かけて正社員に登用していくことを発表したとの報道がありました。

同社以外にも、流通業や外食産業などにおいて、大手企業を中心に「正社員化」の動きが広がっているようです。

「正社員化」のねらい

この「正社員化」の広がりの背景には、以下のような企業の思惑があるようです。

  • 「経験豊富な非正規社員のノウハウを活用したい」
  • 「待遇改善によって優秀な人材を定着させたい」
  • 「景気回復の影響による人材不足状態を解消したい」
  • 「社員のやる気をアップさせて業務の質を高めたい」

「限定正社員」の活用

なお、ファーストリテイリングでは、勤務地限定(店舗限定)で働くことができ、雇用期間に定めのない「限定正社員」の仕組みを取り入れると のことです。

この「限定正社員」は、正社員と非正規社員の中間に位置する雇用形態であり、勤務地の限定のほか、職種・職種や労働時間などを限定するもの もあり、最近では「多様な正社員」や「ジョブ型正社員」などとも呼ばれています。

現在、「限定正社員」の仕組みを積極的に取り入れていこうとする政府・厚生労働省の動きがありますが、何らかの「限定」があることにより、 通常の正社員よりも待遇(賃金水準)が低く設定されることが一般的です。

「限定正社員」に対する懸念

限定正社員には、育児や介護が必要なため「自宅の近くでしか働けない」「長時間は働けない」等、正社員として働くことに何らかの制約のある人に対して「正社員」の道を開く メリットがあるとされています。

しかし、「賃金を低く抑えるための口実として使われる」「通常の正社員よりも解雇されやすい」などといった懸念の声も挙がっています。

協会健保の申請書等の様式が変わります (2014/06/02)

平成26年7月から新様式に変ります。

  ■健康保険給付

  • 健康保険限度額適用認定申請書
  • 健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書
  • 健康保険高額療養費支給申請書
  • 健康保険傷病手当金支給申請書
  • 健康保険療養費支給申請書(治療用装具・立替払等)
  • 健康保険出産手当金支給申請書
  • 健康保険出産育児一時金支給申請書
  • 健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書
  • 健康保険埋葬料(費)支給申請書
  • 健康保険被保険者資格喪失等証明書交付申請書
  • 健康保険特定疾病療養受療証交付申請書

  ■保険証再交付等

  • 健康保険被保険者証再交付申請書
  • 健康保険高齢受給者証再交付申請書

  ■任意継続

  • 任意継続被保険者資格取得申出書
  • 任意継続被保険者資格喪失申出書
  • 任意継続被扶養者(異動)届
  • 任意継続被扶養者変更(訂正)届
  • 任意継続被保険者氏名、住所、性別、生年月日、電話番号変更(訂正)届
  • 任意継続被保険者資格取得申出・保険料納付遅延理由申出書

  ■健 診

  • 特定健康診査受診券申請書

当面は従来の様式も使用できることになっていますが、新様式は7月1日に協会健保(全国健康保険協会)の窓口・ホームページともに切り替わ ることになっているとのことです。

4月以降の労働・社会保険事務で留意すべき改正点 (2014/05/01)

労働保険関係

育児休業給付の支給率(休業前の賃金に対する給付割合)が、休業開始後6カ月の間は、50%から67%に引き上げられます。

また、教育訓練給付金が拡充され、厚生労働省の指定講座を受ける場合の支給額が受講費用の2割から4割に引き上げられ、資格取得等のうえで就職に結びついた場合はさらに受 講費用の2割を追加支給します。

また、再就職後6カ月以上職場に定着することを条件に、離職前の賃金よりも再就職後の賃金が下がった場合には、再就職手当の他に就業促進定着手当(上限あり)が支給されま す。

この他、特定理由離職者等の失業等給付の給付日数に関する暫定措置が、3年間延長されました。

年金保険・企業年金関係

2014年度の国民年金保険料は15,250円です。

また、2014年度の年金額は、0.7%引き下げられて64,400円となり、4月分の年金が支給される6月から変わります。

さらに、4月1日以降に妻が死亡した父子家庭にも遺族基礎年金が支給されることとなった他、産休期間中の保険料免除制度が4月からスタートし、この対象となるのは4月30 日以後に産休が終了する被保険者です。

この他、厚生年金基金制度の原則10年後廃止を定めた、いわゆる「厚生年金基金見直し法」が4月1日より施行されています。

医療保険関係

3月末までに70歳に達している方を除いて、70~74歳の方の医療費の窓口負担が本来の2割負担となりますが、高額療養費の自己負担限度額については据え置かれることと なります。

また、後期高齢者医療の保険料率が改定され、2014年度から2015年度の保険料額は全国平均で月額5,668円(見込)となります。

介護保険関係

第2号被保険者が負担する介護保険料が月額平均5,273円(見込)となりますが、実際の保険料額は被保険者の加入する健康保険の種類に よって異なります。

中小企業における「賃金」と「雇用」の状況は? (2014/05/01)

中小企業のほうが賃金改善に前向き?

帝国データバンクが発表した「2014年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果によると、賃金改善を見込んでいる企業の割合は46.4%(前年度比7.1ポイント 増)で、2006年の調査開始以降、最高の見通しとなったそうです。

賃金改善が「ある(見込みを含む)」と回答した割合は、意外にも大企業よりも中小企業のほうが高く、47.6%でした。

改善内容については、「ベースアップ」(34.0%)、「賞与(一時金)」(27.8%)が上位を占めましたが、こちらも中小企業のほうが割合は高く、「ベースアップ」 (35.5%)、「賞与(一時金)」(28.2%)となりました。

3社に1社は給与水準アップ

また、日本政策金融公庫総合研究所が行った「全国中小企業動向調査」の結果では、正社員の給与水準(2013年12月時点)を前年同月と比較し、「ほとんど変わらない」と 回答した企業の割合が64.2%で最も多かったのですが、「上昇した」と答えた企業の割合も34.1%ありました。

賞与についても、「ほとんど変わらない」と回答した企業の割合が56.0%で最も高かったのですが、「増加」と答えた企業も29.3%あり ました。

賃金総額(2013年12月時点)の前年同月比は、「増加」と答えた企業の割合が46.0%、「ほとんど変わらない」が43.8%でした。

約3割の企業で正社員が増加

次に、従業員数(2013年12月時点)の前年同月比は、正社員では「変わらない」と答えた企業の割合が51.4%、「増加」と答えた企業の割合は31.5%でした。
正社員が増加した理由を見ると、「将来の人手不足に備えるため」が47.3%でトップ、「受注・販売が増加したため」(36.3%)、「受 注・販売が今後増加する見通しのため」(28.9%)が続きました。

一方、正社員が減少した理由については、「退職者・転職者があったが人員補充できなかったため」が64.6%でトップ、「受注・販売が減少したため」(17.2%)、「も ともと人員が過剰だったため」(9.9%)が続いています。

詐欺罪に問われることも!
助成金(両立支援助成金)の不正受給事例 (2014/05/01)

「不正受給」に該当するケースとは?

助成金の支給申請に際して、事実通りに申請してしまうと助成金を受給できなかったり、期待した額の助成金を受給できなかったりするため、存在しない書類や実態と異なる書類 を作成・提出して助成金を受給しようとすることは「不正受給」に当たります。

実際に助成金を受給しない場合であっても、申請するだけで不正受給になるため注意が必要です。

以下では、厚生労働省から発表されている「両立支援助成金」の不正受給事例をご紹介します。

不正受給事例(1)

事業主Aは、助成金の申請にあたり「事業所内保育施設の建設に要した費用の領収書の写し」の提出が必要でしたが、助成金に詳しい外部者から「他の事業主はみんなこのように かしこくやっている」と助言を受け、建設会社に依頼して実際に支払った金額よりも高額な額面の領収書を発行してもらい、本来受給できる金額よ り多額の助成金の支給を受けました。

後日、会計検査院の調査において不正の事実が判明して指摘を受けたため、事業主Aは助成金を全額返還するとともに、雇用関係助成金の3年間の支給停止決定を受けました。

さらに、労働局により詐欺罪(刑法246 条:10 年以下の懲役)で刑事告発され、警察の捜査を受けて書類送検されました。

不正受給事例(2)

事業主Bは、助成金の申請にあたり「対象労働者の出勤簿の写し」の提出が必要でしたが、もともと出勤簿を作成していませんでした。

このため、助成金に詳しい外部者が出勤簿を作成し、その写しを添付して支給申請しましたが、記載内容が実際の出勤状況と違うことが判明したため、事業主Bの助成金は不支給 となり、雇用関係助成金の3年間の支給停止決定を受けました。

要チェック! 平成26年度の厚生労働省方針 (2014/04/01)

労務管理見直しの契機に

厚生労働省の来年度方針が続々と明らかになっています。自社の労務管理の方向性を見直すうえで参考にしてみはいかがでしょうか。

高齢者の雇用等

65歳までの雇用が原則義務化され、高齢者の賃金設計とそれに伴う全体的な賃金制度の見直しを実施・検討する企業が増えています。

また、中高年層社員に関する課題として、「介護休職・離職」があります。親の介護による休職・離職が最も多い年代層は50代ですが、40代から65歳までのすべての年代で も直面する可能性の高い課題です。

厚生労働省は、65歳までの雇用義務化等を背景に、基礎年金の保険料納付期間を延長する考えを示しています。来年の通常国会での法改正を検討しているようです。

多様な正社員

「限定正社員」という呼ばれ方もしますが、職種、勤務地、労働時間等が限定的な「多様な形態による正社員」が注目されています。

多様な形態の正社員の賃金・昇進等については、すでに実践している企業の例と今後の制度整備の動向等を見ながら、就業規則等の整備を検討していく必要があるでしょう。

助成金の拡充・新設

次の助成金について、力を入れていくようです。

キャリアアップ助成金/労働移動支援助成金/トライアル雇用奨励金/育児休業からの職場復帰を支援:キャリア形成促進助成金における育休取得能力アップコース(仮称)

行政指導の方向性

労働基準監督官の増員が計画されており、また、従来通り、サービス残業是正を始めとする割増賃金の適正な支払いや違法な時間外労働の是正等を実施していくとしています。

部下の長時間労働や年次有給休暇取得の状況を上司の人事評価に反映させるといった会社での取組みも必要でしょう。「働き方・休み方改善指標」や「働き方・休み方改善ハンド ブック」などが作成されますので、これらも参考になるかもしれません。

障害者雇用の進展

平成25年度は、身体障害者、知的障害者、精神障害者のいずれも雇用者が増加しています。特に精神障害者が大きく増加し、大手企業では4年後の障害者雇用率に関する改正等 をにらみ、発達障害を持つ方を採用したいというニーズが高まっています。

「ブラック企業」は社員を採用できない!? (2014/04/01)

世間を賑わすキーワードに

昨年末、「新語・流行語大賞トップテン」(ユーキャン)に『ブラック企業』が選ばれましたが、それに続き、日本の政治・経済・社会・文化・国際関係等をめぐる優れた論考を 顕彰する「大佛次郎論壇賞」(朝日新聞社)に、『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著/文春新書)が選ばれました。

学生から見た「ブラック企業」

株式会社日経HRと株式会社ディスコが今年1月に共同で実施した「2015年度 日経就職ナビ 学生モニター調査」(調査対象:来年3月卒業予定の大学3年生)では、「ブラック企業だと思う条件」を尋ねたところ、次のような結果となりました。

  1. 残業代が支払われない(75.0%)
  2. 労働条件が過酷である(65.0%)
  3. 離職率が高い(58.0%)
  4. 成果を出さないと精神的に追い込まれる(55.7%)
  5. 募集条件と実働が著しく異なる(53.9%)
  6. セクハラ、パワハラがある(50.6%)
  7. 給与金額が低すぎる(48.3%)

なお、この調査で「ブラック企業の就職試験は受けない」と回答した学生は62.5%に上りました。

学生が気になる「離職率」「平均勤続年数

また、別の調査(2015年卒マイナビ学生就職モニター調査)では、学生が就職活動を進めるにあたって企業に公開してほしいデータして、「離職率」(59.4%)、「平均 勤続年数」(51.6%)が上位にランクインしており、「ブラック企業」を念頭に置いていることがうかがえます。

労働条件などの見直しが必要

仕事は楽なことばかりではありませんし、実績のない新入社員を初めから好待遇で迎える企業ばかりではありませんが、労働条件が著しく劣悪な企業や、社員を使い捨てるような 発想のある企業には、今後、人が集まらなくなる傾向が強まるでしょう。

厚生労働省も、若者を積極的に雇用・育成する企業については「非ブラック企業」のお墨付きを与えたり(若者応援企業宣言事業)、ハローワー クを通じて大学生を採用する企業に対し離職率の公表を求めたりといった対策を講じています。

社員を採用するにあたり、今一度、自社の労働条件や労務管理体制について見つめ直してみてはいかがでしょうか。

「新卒3年以内離職率」と「求人倍率」の気になる関係 (2014/04/01)

企業は「早期離職率」をどう見ればよいか

「ブラック企業=若者を使い捨てにする企業」との特徴から、新卒者が入社後3年以内に離職する「早期離職率」に関心が集まっています。

企業においても、「ブラック企業」とのレッテルを貼られるのは避けたいところですから、どの程度の離職率で「高い」とされるのかが気になり ます。

東洋経済新報社が運営するインターネットサイト「就職四季報プラスワン」では、「入社3年で3割が目安」とされています。

新卒者の早期離職率の推移

厚生労働省の「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」によれば、1987年から2008年までにおいて、大学新卒者の早期離職率が最も低かったのは1992年の 23.7%、最も高かったのは2004年の36.6%で、平均で約31%です。

この結果を踏まえると、上記の「3割」という割合は妥当とも思われますが、業界そのものが成長途中にあり、人材も流動的であるような企業の場合には、クリアすることが難し いところもあるかもしれません。

求人倍率から新卒者の早期離職率を予測する

年によって早期離職率が異なることから、次に気になるのは近年の新卒者の傾向ですが、これについては「労働市場の世代効果に関する研究」の結果が参考になります。

これは、性別、学歴、卒業年等によって区分されたグループが、賃金や採用、離職等にどのような影響を受けるかを研究したものですが、それによると、求人倍率が低い時期に就 職した世代ではミスマッチが発生しやすく、離職率が高くなるそうです。

実際に、リーマンショック後の2010年の新卒就職者の3年以内離職率は31.0%と、6年ぶりに前年度を2.2ポイント上回る結果となっていることから、企業にとって は、社員の定着率向上に向けた一層の取組みが重要となるかもしれません。

2014年度の各種保険料額(率)・年金額 (2014/03/01)

雇用保険料率

1月27日に2014年度の雇用保険料率が発表されました。2013年と変わらず、下記の通りとなります。

  • 一般の事業…1000分の13.5(労働者負担=1000分の5、事業主負担=1000分の8.5)
  • 農林水産清酒醸造の事業…1000分の15.5(労働者負担=1000分の6、事業主負担=1000分の9.5)
  • 建設の事業…1000分の16.5(労働者負担=1000分の6、事業主負担=1000分の10.5)

国民年金保険料額・前納額

1月31日の厚生労働省の発表によると、2014年度の国民年金の保険料額は1月当たり210円引き上げられ、1万5,250円(月額)と なります。

また、保険料を口座振替で前納した場合の額は、6カ月間で9万460円(1,040円割引)、1年間で17万9,160円(3,840円割引)、2年間で35万5,280 円(1万4,800円割引)となります。現金納付またはクレジットカード納付による前納の場合は、上記とは金額が異なるため、注意が必要で す。

国民年金・厚生年金の年金額

2014年度の年金額(老齢基礎年金)は満額で6万4,400円(月額)となり、2013年度に比べマイナス475円(0.7%の引下げ)という結果になりました。

この年金額は、2014年度の年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率(0.3%)よりも物価変動率(0.4%)が高くなるため、名目手取り賃金変動率(0.3%)によっ て改定され、算出されたものです。

なお、2013年9月までの年金額が本来支給額よりも高い金額に据え置かれていたことを受け、2015年4月までにその特例水準を解消するため年金額が引き下げられます。

当初予定では2013年10月分からマイナス1.0%、2014年4月分からマイナス1.0%、2015年5月から0.5%の引下げとする予定でしたが、上記賃金変動率と 合わせて0.7%の引下げとなっているものです。

なお、厚生年金の年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、22万6,925 円(前年度比マイナス1,666円)です。 受給者の受取額が変わるのは、通常4月分の年金が支払われる6月からです。

未払残業代請求の内容証明が急増中! (2014/03/01)

東京管内の割増賃金遡及支払額が17億円に

東京労働局から「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成24年度)」が公表されましたが、これによれば、東京労働局管内で、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金 が適正に支払われていないとして是正勧告・指導され、100万円以上の遡及支払いになったのは125企業となり、その総額は17億円に上った とのことです。

ネット上にあふれる割増賃金請求に関する情報

最近、主に元従業員から、未払残業代請求の内容証明が届く企業が非常に増えているようです。「あなたの未払残業代がすぐわかる!」といったような内容のサービスを謳うホー ムページや、残業代請求に関する内容証明のひな形を掲載するサイトも増えています。

これらを利用すれば、内容証明の作成・送付により、簡単に会社に対して未払残業代を請求できる時代になってしまいました。

会社としての対応は?

ある日突然、送りつけられた未払残業代の支払いを要求する内容証明。その内容ごとに、会社の対策は変わってきます。

まず、内容証明の送り手は誰か。内容証明の差出人が、従業員個人なのか、合同労組やユニオンなのか、弁護士等なのかにより、会社としての対応が違ってきますし、相手の事情 や紛争が長期化するかどうかもある程度読み取ることができます。

例えば、従業員(元従業員)本人による場合、会社へのうっぷんを晴らしたいのか、お金が欲しい(お金に困っている)だけなのか、上司等に対する個人的恨みなのか等が判断で きる場合があります。また、内容の完成度や要求の度合いにより、インターネットのテンプレートを使って素人レベルで作ったものなのかどうか等 の情報がわかり、以後の会社のとるべき対応を考えるうえで参考になります。

いずれにしても、会社としては、必要な資料(タイムカード、日報、就業規則、賃金規程等)の収集・検討を行い、残業時間を確認し、そのうえで対応を行います。

日頃の労務管理が重要!

もっとも、未払残業代を発生させてしまう残業・労働時間管理を根本から見直さない限り、こうした内容証明が届くリスクはなくなりません。

「会社が未払残業代を請求された」という噂が広まれば、現在働いている従業員についても、その不満を爆発させてしまうことにつながる可能性も大いにあります。

今一度、自社の労働時間管理について検証してみてはいかがでしょうか。

4月から始まる「産休期間中の社会保険料免除制度」-続報- (2014/03/01)

4月から制度スタート

仕事と子育ての両立支援を図るため、産前産後休業(原則、産前42日・産後56日)を取得した場合、育児休業の場合と同様に社会保険料の免除が受けられるようになります (被保険者分および事業主分)。

この制度の対象者は、今年4月30日以降に産前産後休業が終了となる方で、4月分以降の保険料から免除の対象となりますので、社内で周知しておくことが必要でしょう。

書類の提出時期・提出先

事業主による届出書類の提出時期は「被保険者から申出を受けた時」、提出先は「事業所の所在地を管轄する年金事務所」とされています。

今後公表される「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」を、「窓口への持参」「郵送」「電子申請」のうちいずれかの方法で提出します。

なお、添付書類は特に必要ないとのことです。

標準報酬の改定

産前産後休業終了後に報酬が下がった場合、産前産後休業終了後の3カ月間の報酬額を基にして、新しい標準報酬月額を決定し、その翌月から標準報酬が改定されます。

この場合、会社が「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を提出しなければなりませんが、産前産後休業を終了した日の翌日から引き続き育児休業を開始した場合には提出するこ とができません。

その他の留意点

被保険者が産前産後休業期間を変更したとき、または産前産後休業終了予定日の前日までに産前産後休業を終了したときは、事業主は速やかに「産前産後休業取得者変更(終了) 届」を提出する必要があります。

育児休業期間中の保険料免除期間と産前産後休業期間中の保険料免除期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されます。

押さえておきたい「労働契約法改正」の最新動向 (2014/02/01)

昨年末に特例法が成立、施行

昨年4月1日より改正労働契約法が施行され、いわゆる「無期転換ルール」が導入されました。

これにより、同一の使用者の下、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、労働者に「無期転換申込権」が発生することとなりましたが、パートタイマー等の有期契約 労働者を無期雇用へと転換する動きもみられるなど、改正への対応が企業において進められていました。

ところが、昨年12月6日の参議院本会議で「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に 関する法律の一部を改正する法律案」が可決・成立し、すでに一部は施行されています。

特例法の趣旨

この特例法は、大学の教員等で、5年を超えるようなプロジェクトに関わる有期契約労働者についても、5年経過時点で無期転換申込権が発生してしまうと、5年を超える前に契 約を打ち切らざるを得ず、雇い続けることができないという現場からの声に対応して立案されたものです。

特例法により、一定の要件を満たす大学の教員等については、無期転換申込権にかかる年数要件が「10年」とされました。

さらなる改正に向けた動き

現在、厚生労働省の労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)において、高度な専門職に就く高収入の有期労働契約者で一定の期間内に終了すると見込まれる事業(オ リンピックの開催準備等)に従事する者等について、5年経過時点で無期転換申込権が発生しないこととする「有期雇用の特例」作りが検討されて います。

同省では、この結果を今年3月上旬までに労働契約法の改正案としてまとめ、1月24日に召集される通常国会に提出する方針です。 特例の対象には高年齢者も含まれる見通しですので、企業にとってはさらなる就業規則等の見直しが必要となる可能性もあることから、今後も動向を注視する必要があるでしょ う。

第1回試験が3月に開催!「給与計算実務能力検定試験」(2014/02/01)

実務能力への確かな評価を与える試験

企業・組織に不可欠であり、決して間違いの許されない、重要な業務である給与計算業務。

その知識・遂行能力を客観的に判断できるよう、このたび、「給与計算実務能力検定試験」が創設されました。主催は、財団法人職業技能振興会(厚生労働省認可)です。

級は「1級」・「2級」の2区分であり、1級合格者は「労働法令や税務についても正しく理解し、複雑な制度やイレギュラーな給与体系にも対応可能、また年末調整を含め、年 間を通じて給与計算に関するすべての業務に精通したレベル」、2級合格者は「実務上の基礎となる労務コンプライアンスについて正しく理解し、 基本的な給与計算の計算を行い、明細を作成出来るレベル」と評価されます。

なお、受験資格は特に設けられておらず、どなたでも受験できます。

試験の概要

第1回試験は2級のみ、平成26年3月2日に東京・大阪の2会場で実施されます(なお、1級は平成26年11月の実施を予定)。

試験はマークシート形式で行われ、「給与計算業務に必要な基礎知識」、「給与計算実務に必要な法的知識(労働基準法等)」、「計算演習問題(実際の給与計算)」について 40問出題、7割以上の得点獲得が合格基準点となります。

受験料は、8,000円(なお、今回は実施されないが、1級は10,000円)です。

願書締切りは2月21日

第1回試験の受験料振込および出願書類の到着締切りは、平成26年2月21日となっています。

日常業務で給与計算事務に携わる方でご興味のある方は、受験を検討してみてはいかがでしょうか。

産前産後休業が平成26年4月30日以降に終了となる方の社会保険料免除  (2014/02/01)

産前産後休業保険料免除制度

「産前産後休業保険料免除制度」が平成26年4月から始まります。平成26年4月30日以降に産前産後休業(以後「産休」という)が終了となる方(平成26年4月分以降の 保険料)が対象となります。

産休期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)について、健康保険料・厚生年金保険料が、事 業主の申し出により、被保険者分及び事業主分とも免除されます。

保険料が免除される期間

保険料が免除される期間は、産休開始月から終了予定日の翌日の月の前月(産休終了日が月の末日の場合は産休終了月)までです。

例えば、4月30日に産休が終了する方は、月の末日に終了するので4月まで免除されます。平成26年の4月の場合は、この制度が始まる月なので4月分のみが免除となりま す。

5月30日に産休が終了する方は、翌日が5月31日で、前月まで免除なので、4月分まで免除となります。この場合、5月31日から育児休業を開始する方は5月分からは、育 児休業による社会保険料免除が受けられます。

免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。

申出期間

この申出は、産休中に行わなくてはなりません。被保険者から申出を受けた事業主が「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」を管轄の年金事務所へ提出することにより行います。

『出産前』に産休期間中の保険料免除を申し出た場合

出産予定日の前後に出産した場合は、産休開始後に「産前産後休業取得者申出書」を提出し、出産後に「産前産後休業取得者変更(終了)届」を 提出します。

出産予定日に出産した場合は、産休開始後に「産前産後休業取得者申出書」を提出するのみで、「産前産後休業取得者変更(終了)届」の提出は 不要です。

『出産後』に産休期間中の保険料免除を申し出た場合

出産後に「産前産後休業取得者申出書」を提出する(出産予定日、出産日の両方を申し出)。

現在産休中の方がいらっしゃる事業所では、手続等を年金事務所に今から確認されておくと良いでしょう。

「割増率50%以上」適用拡大の動き&三六協定チェックポイント  (2014/01/01)

「割増率50%以上」中小企業へ適用拡大か?

厚生労働省の調査で、月60時間超の法定時間外労働に対し、割増賃金率を「25%超」としている中小企業は1割強と少なく、さらにこのうち「50%超」としていた割合は1 割に満たなかったことが明らかになりました。

大企業については、平成22年の労働基準法改正により、月60時間超の時間外労働に対する割増率を50%以上にしなければならなくなりましたが、中小企業については、現在 この規定の適用が猶予されています。

厚生労働省では、今回の調査結果を踏まえて中小企業への適用拡大について検討を進める考えです。

「三六協定」のチェックポイント

時間外労働・休日労働に関する協定届(三六協定)を労働基準監督署に届け出ると、延長時間数の範囲内であれば、会社は1日8時間、週40時間を超えて時間外労働を命じるこ とができます。

なお、三六協定とは別に、就業規則や個別の雇用契約書等に時間外労働・休日労働(所定時間外労働含む)の根拠規定を置いておくことは必要です。 三六協定に関する代表的なチェックポイントは、次の通りです。

  • 一定の規模があり、労務管理上、独立性があるような支社等は、別に三六協定が必要である。
  • 管理監督者、病欠、休職中の社員などの在籍するすべての労働者(事業場の代表者を除く)が、「労働者の過半数を代表する者」の選出に 関する母数に含まれる。
  • 労働者の過半数代表として労働組合を締結主体とする場合、事業場ごとに、過半数以上を組織しているか(非正規労働者を当該労働組合が 組織化していない場合は特に注意)。
  • 従業員過半数代表は、事業場ごとの投票、挙手、持ち回り決議など民主的な方法で選出する。
  • 特別条項が活用できるのは、1年間あたり6回以内。
  • 特別条項の「具体的事由」は具体的に明記する。

行政指導や労災認定リスクにも

三六協定の締結・届出は、毎年の業務のため流れで行ってしまいがちですが、慎重に確認しながら進めないと、行政指導を受けたり、万が一社員が過労により死傷したような場合 には労災認定されて会社の義務違反が問われたりすることにつながりかねません。

上記に挙げたもの以外にもチェックすべきポイントはありますので、今一度、確認が必要です。

「年次有給休暇」に関する最近の動向 (2014/01/01)

昨年の取得率は約47%

厚生労働省の発表によると、企業が昨年(2012年)、社員に付与した年次有給休暇(年休)は平均18.3日で前年と同でしたが、社員が実際に取得した日数は平均8.6日 (前年9.0日)に減少し、取得率も47.1%(同49.3%)に低下したことがわかりました。

また、時間単位の年休が取得できる制度のある企業の割合は11.2%(同8.8%)と若干増えたものの、全体の1割程度しかないことがわかりました。

さらに、内閣府の調査からは、年休の取得が進まないのは、上司の意識(取得する部下を「仕事より自分の予定を優先」等と否定的に考える)が原因である実態が明らかになりま した。

「年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱い」の改正

年休に関連して、注意が必要な通達の変更が行われています。これは、裁判により解雇無効が認められた労働者が、復職後に年休取得を請求して出社しなかったところ、会社がそ の期間を欠勤として取り扱い、その分の賃金を支払わなかったこと等に関する最高裁の判決があったことによります。

労働基準法では、雇入れの日から6カ月の継続勤務期間またはその後の各1年度において全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、翌年度に決まった日数の年休を与えなけれ ばならないと定められています。

この出勤率の計算根拠について、「労働者が使用者の正当な理由のない就労拒否によって就労することができなかった日」を、年休の発生要件である全労働日に含まれると解釈し たのがこの最高裁判決です。

この判決が出たことを受け、厚生労働省は、年休算定の基礎となる全労働日の取扱いを変更しました。具体的には、労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、出 勤率の算定にあたっては出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるとしたのです。

規定の見直しを

解雇した労働者が復職した場合や、私傷病休職後の復職を認めずに退職扱いとした後に復職した場合などは、年休の出勤率の計算に影響がある可能性がありますので、注意が必要 です。 また、就業規則で年休に関する出勤率の計算方法を定めている場合には、規定の見直しが必要になる場合もありますので、確認が必要でしょう。

「インフルエンザ流行」に備えて職場でできる予防策 (2014/01/01)

すでに流行の兆しが見えているところも

国立感染症研究所が公表している「インフルエンザ流行レベルマップ」(12月4日現在)によれば、佐賀県、鹿児島県、岩手県、沖縄県、北海道、大分県、山口県ではすでに流 行期に入っており、41都府県で前の週よりも患者が増加しています。

2012年は12月21日に全国で流行期入りしていたことから、そろそろ今年も本格的に対策に取り組む時期を迎えています。

◆予防接種の受診率が低いのは30代男性

楽天リサーチが行ったインターネット調査によれば、20代から60代までの男女計500人にインフルエンザの予防接種を受けるかどうか質問したところ、「受けない(受けな い予定)」との回答が47.8%で、「すでに受けた、受ける(予定)」の35.0%を上回りました。

性年代別に見ると、最も多く「受けない(受けない予定)」と回答したのは男性では30代(56%)、女性では50代(64%)との結果でした。

受けない理由については、男性では「時間がないから」、女性では「受けてもインフルエンザにかかるときがあるから」と回答する傾向が見られました。

職場で気をつけたい「接触感染」

予防対策として真っ先に頭に浮かぶのは「うがい」や「手洗い」ですが、見過ごされがちなのが手や指を介した「接触感染」です。これは、くしゃみやせきを押さえた手を洗わず に物を触ったりすることで起こります。

WTO(世界保健機関)の調査によれば、2002年に中国で流行したSARS(新型肺炎)も、主要な感染ルートの1つは不特定多数の人が触るエレベータのボタンや電車や地 下鉄のつり革だったそうです。

会議の席で書類を回し読みしたり、パソコンを複数の人でシェアしたりして、書類やキーボードを触ることでも感染するリスクがあることから、このような行為はなるべく控えた ほうがよいと言えるでしょう。

 

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