事務所便り


ハローワークにおける求人不受理の対象が追加されます (2025-01)


◆ハローワークにおける求人不受理の対象とは?

ハローワークの求人は、労働関係法令の規定に違反し、企業名公表等の措置が講じられた者からの求人の申込みについては受理しないことができ ると、職業安定法の政令に規定されています。

例えば、労働基準法や最低賃金法の規定に、過去1年間に2回以上、同一条項違反で是正指導を受けた場合は是正後6カ月経過まで不受理となり ます。送検・公表された場合は、送検後概ね1年経過まで不受理となります。また、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の規定に違反し、是正 を求める勧告等に従わずに公表された場合も是正後6カ月経過まで不受理となります。

◆改正育児・介護休業法の施行にあわせて求人不受理の対象が追加

2024年の通常国会で成立した改正育児・介護休業法は、一部が2025年4月1日と2025年10月1日の2回に分けて施行されます。こ の改正法の施行にあわせて、求人不受理の対象が追加されます。

具体的には、労働者が家族の介護の必要性に直面した旨を事業主に対して申し出たことを理由とした不利益取扱いの禁止への違反が、2025年 4月1日から追加されます。

また、(1)労働者から確認された就業に関する条件に係る意向の内容を理由とした不利益取扱いの禁止、(2)柔軟な働き方を実現するための 措置(3歳から小学校就学までの子を養育する労働者に対する始業時刻等の変更等の措置)の実施義務、(3)事業主が講じた柔軟な働き方を実現 するための措置に係る申出をしたこと等を理由とした不利益取扱いの禁止を定めた規定への違反について、2025年10月1日から追加されま す。

【厚生労働省「第376回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45125.html


外国人技能実習生の転籍要件が明確化されました (2025-01)


◆技能実習の運用要領を改正

出入国在留管理庁が、外国人技能実習の運用要領を改正し、転籍を可能とする場合の要件に、「ハラスメントを受けている場合」が明記されまし た。技能実習生の失踪の増加や、外国人労働者に対する人権侵害に対する批判が国際的にも高まっていることを受けた対応だと思われます。

技能実習生は原則3年間転籍ができませんが、「やむを得ない事情」があったときは、受入企業を変更する転籍が認めています。

これまで、この「やむを得ない事情」にどのような場合が該当するのか定義があいまいでしたが、暴行や各種ハラスメント(暴言、脅迫・強要、 セクハラ、マタハラ、パワハラなど)を受けている場合、重大悪質な法令違反・契約違反があった場合に転籍できることが明確化されるとともに、 直接被害を受けた技能実習生だけでなく、同僚の技能実習生についても対象となりました。

技能実習であるからといって、ハラスメントや賃金不払いなどの法違反が許されないことが明確にされた形です。また、転籍を申し出るための専 用様式も作成されたそうですので、今後は転籍の申出がなされやすい状況となったようです。

◆技能実習制度は「育成就労制度」へ

労働基準法違反・法定労働時間を超えた労働、労働安全法違反、労災隠し、賃金未払い、実習計画に基づかない実習などは、認定の取り消しや是 正指導、送検等につながります。

技能実習制度はあらたに「育成就労制度」への見直しが行われます。新たな制度は2027年の開始が見込まれますので、今後の動向に注意して おきましょう。

【「技能実習制度における「やむを得ない事情」がある場合の転籍の改善について」】

https://www.moj.go.jp/isa/content/001426916.pdf


1月20日から、希望する離職者のマイナポータルに離職票を直接送付するサービスが始まります (2025-03)


◆離職票が使われる場面

離職票とは、雇用保険の被保険者が離職後に求職者給付(基本手当等)を受給するために必要な書類です。離職票は現在、ハローワークから事業 所を通して離職者に送られていますが、2025年1月20日から、希望する離職者のマイナポータルに直接送付するサービスが始まります。離職 者がハローワークで求職の申込みをするには、事業所から離職票が届くまで1週間から10日ほど待つ必要がありましたが、新サービスを使えばそ の期間が短縮されます。事業所は離職者に離職票を送る手間が省けます。

◆離職票が送付されるまでの流れ

現在、事業所が資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出すると、離職証明書は3枚複写になっており、ハローワークはそのうち事業主控と 離職票を事業所に郵送または電子送付します。事業所はその離職票を離職者に郵送します。2025年1月20日から一定の条件を満たした場合 は、事業所が資格喪失届と離職証明書をハローワークに電子申請すると、ハローワークは離職証明書の事業主控を事業所に電子送付し、離職票を離 職者のマイナポータルに直接送付します。

◆離職票のマイナポータル直接送付のために事業所がやるべきこと

  1. 被保険者の方に被保険者向けリーフレットを使って周知しましょう。このサービスが被保険者の任意であることに留意する必要がありま す。
  2. 被保険者本人のマイナポータルで、マイナンバーがハローワークに登録されているか確認してもらいます。登録されていない場合は、事業 所が「個人番号登録・変更届」をハローワークに提出し、マイナンバーを登録してください。
  3. 被保険者のマイナンバー登録が済んでいる場合は、被保険者本人にマイナポータル上で「雇用保険WEBサービス」との連携設定を行って もらいます。2.及び3.は資格喪失届提出の2週間前までに行ってください。
  4. 雇用保険の離職手続を電子申請で行ってください。電子申請ではなく紙様式でハローワークに届け出た場合は、離職票は従来どおり事業所 経由となります。

【厚生労働省「〔事業主の皆さまへ〕2025年1月から、希望する離職者のマイナポータルに「離職票」を直接送付するサービスを開始しま す!」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001353550.pdf