事務所便り


「2024年問題」物流2法改正案が閣議決定されました (2024-04)


働き方改革関連法が本年4月から適用されることによる物流業界の「2024年問題」に対応するため、商慣習の見直しや効率化に向けた物流関連 2法の改正案が閣議決定されました。主な内容は以下の通りです。

◆荷主・物流事業者に対する規制【流通業務総合効率化法】

  • 荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定
  • 上記取組状況について、国が判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施
  • 上記事業者のうち、一定規模以上のものを特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、中長期計画に基づく取組 みの実施状況が不十分の場合、勧告・命令を実施
  • さらに、特定事業者のうち荷主には物流統括管理者の選任を義務付け
※法律の名称を「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」から「物資 の流通の効率化に関する法律」に変更


◆トラック事業者の取引に対する規制【貨物自動車運送事業法】

  • 元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付け
  • 荷主・トラック事業者・利用運送事業者に対し、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サー チャージ等を含む)等について記載した書面による交付等を義務付け
  • トラック事業者・利用運送事業者に対し、他の事業者の運送の利用(=下請けに出す行為)の適正化について努力義務を課すとともに、一 定規模以上の事業者に対し、当該適正化に関する管理規程の作成、責任者の選任を義務付け


◆軽トラック事業者に対する規制【貨物自動車運送事業法】

  • 軽トラック事業者に対し、①必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、②国土交通大臣への事故報告を義務付け
  • 国交省による公表対象に、軽トラック事業者に係る事故報告・安全確保命令に関する情報等を追加

【国土交通省プレスリリース「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」を閣議決 定】
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000747.html

短い期間での工事契約を禁止する建設業法などの改正案が閣議決定 (2024-04)


「2024年問題」を抱える建設業界の深刻な人手不足に対応するため、現場で働く人の賃上げや働き方改革を促すことなどを盛り込んだ「建設業 法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。以下、その概要です。

◆労働者の処遇改善

  1. 建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化するとともに、国は当該処遇確保に係る取組状況を調査・公表
  2. 労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、受注者および注文者の双方に対して 著しく低い労務費等による見積り書の作成や変更依頼を禁止(違反発注者には国土交通大臣等が勧告)
  3. 併せて、受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止


◆資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

  1. 資材高騰など、請負代金や工期に影響を及ぼす事象(リスク)がある場合、請負契約の締結までに受注者から注文者に通知するよう義務化 する。また、資材価格変動時における請負代金等の「変更方法」を契約書の記載事項として明確化
  2. 注文者に対し、当該リスク発生時は誠実に協議に応ずることを努力義務化


◆働き方改革と生産性向上

  1. 長時間労働を抑制するため、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止
  2. ICT活用等を要件に、現場技術者に係る専任規制や、公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化
  3. ICT活用による現場管理の「指針」を国が作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対し、効率的な現場管理を努力義務化

【国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定~建設業の担い手を確保 するため、契約取引に係るルールを整備~】
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00221.html

賃上げ予定の中小企業の6割が業績改善の伴わない「防衛的」賃上げ~日本商工会議所・東京商工会議所の調査より (2024-04)


日本商工会議所・東京商工会議所は2月14日、「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」集計結果を発表しました。全国の中小企業 6,013社を対象に調査したもので、2024年1月4日~26日に実施し、2,988社から回答を得ています。

2024年度に賃上げを予定する企業は、前年度比3.1ポイント増の61.3%に上ったものの、うち6割が業績改善を伴わない人材確保のた めの「防衛的な賃上げ」を迫られている状況です。

◆人手が「不足している」と回答した企業は65.6%

「人手不足の状況および対応」では、人手が「不足している」と答えた企業は前年比1.3ポイント増の65.6%に上り、3社に2社が人手不 足という深刻な状況が依然続いています。

業種別にみると、「2024年問題」への対応が求められる建設業(78.9%)や運輸業(77.3%)、労働集約型の介護・看護業 (76.9%)で「不足している」とする企業の割合が高く、8割近くに及んでいます。

また、最も低い製造業(57.8%)でも約6割が「不足している」と回答していて、あらゆる業種で人手不足の状況にあります。

◆2024年度に「賃上げを実施予定」の企業は6割超

こうした中で、2024年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は、昨年度(58.2%)から3.1ポイント増加の61.3%と6 割を超え、賃上げに取り組む企業は着実に増加しています。ただ、そのうち、「業績の改善がみられないが賃上げを実施予定」は60.3%で、依 然6割が「防衛的賃上げ」となっています。

従業員規模別では、従業員5人以下の企業では、「賃上げ実施予定」は32.7%にとどまり、「賃上げを見送る予定(引下げ予定を含む)」が 16.8%に上っています。

◆「最低賃金を下回ったため、賃金を引上げた」企業は38.4%

2023年10月の最低賃金引上げを受け、「最低賃金を下回ったため、賃金を引上げた」企業(直接的な影響を受けた企業)は38.4%と、 昨年度から0.4ポイント低下したものの引き続き高い水準です。

一方、人手不足や物価上昇が進む中、「最低賃金を上回っていたが、賃金を引上げた」企業は29.8%と、昨年度から5.2ポイント増え、 2017年の調査開始以降で最も高い割合となっています。

【日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」集計結果】
https://www.jcci.or.jp/20240214_survey_release.pdf


「令和6年分所得税の定額減税」の特設サイトが開設されました (2024-03)


「令和6年度税制改正大綱」(令和5年12月22日閣議決定)で、岸田内閣が先に掲げた、令和6年分の所得税額から一定額が控除される定額減 税が盛り込まれました。

法案が成立すれば、給与所得者については令和6年6月1日以後最初に支払う給与等についての源泉徴収を行う際から実施されることになりま す。金額は、1人あたり3万円、同一生計配偶者および扶養親族がいる場合は1人につき3万円の合計額です。

◆定額減税特設サイト

法案成立前でも、給与計算担当者(源泉徴収義務者)が早期に準備に着手できるよう、国税庁は特設サイトを設け、1月30日に各種パンフレッ ト・資料等を、そして2月5日にQ&Aを公表しました。

◆「令和6年分所得税の定額減税のしかた」

パンフレットは、1.定額現在の概要、2.給与の支払者の事務のあらまし、3.月次減税事務の手順、4.年調減税事務の手順、5.源泉徴収 票への表示について、全16頁で解説されています。

◆「令和6年分所得税の定額減税Q&A」

Q&Aは、制度の概要、対象者の選定、月次減額の方法、年調減税の方法、源泉徴収票・給与支払明細書等への記載方法等、全23頁、 計59のQ&Aから構成されています。

今回の定額減税は、給与計算実務に直接の影響がある内容ですので、資料やQ&Aを参考に、あらかじめ手順を確認しておくとよいでしょ う。

【国税庁「定額減税 特設サイト」】
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm

【同「令和6年分所得税の定額減税のしかた」】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023012-317.pdf

【同「令和6年分所得税の定額減税Q&A」】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0024001-021.pdf


2024年10月からの社会保険適用拡大に関するQ&Aが公開されました (2024-03)


所定労働時間または所定労働日数が通常の労働者(正社員)の4分の3に満たない短時間労働者でも、①1週の所定労働時間が20時間以上である こと、②所定内賃金が月額8.8万円以上であること、③学生でないこと、④特定適用事業所に使用されていること、という要件を満たせば、健康 保険と厚生年金保険の被保険者になります。

今年の10月から、④の特定適用事業所の企業規模要件が、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超える企業から常時50 人を超える企業に拡大されるため、厚生労働省によるQ&Aが公開されました。関係のある方は、下記をご確認ください。

◆問9 「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、どのような状態を指すのか。どの時点で常時50人を超えると判断する ことになるのか。

(答)「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金 保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに 使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。

◆問10 特定適用事業所に該当した適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。


(答)特定適用事業所に該当した場合は、①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所を代表する本店又は主たる事業所か ら、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健 康保険組合へ届け出ることになります。)。②個人事業所の場合は、各適用事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることに なります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。

【厚生労働省「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分))】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240124T0010.pdf


外国人労働者数が初の200万人超え~厚生労働省のまとめより (2024-03)


厚生労働省は1月26日、令和5年10月末時点の外国人雇用についての届出状況の取りまとめを公表しました。

国内で働く外国人は昨年10月末時点で前年と比べ12.4%増えて、204万8,675人に上り、平成25年から11年連続で過去最多を更 新しました。外国人労働者の増加率はコロナ禍前の水準にまで回復しています。また、比較可能な平成20年以降、200万人を超えるのは初めて です。

◆外国人労働者数は過去最高を更新

外国人労働者数は204万8,675人で、前年比で22万5,950人増加し、届出が義務化された平成 19年以降、過去最高を更新しました。対前年増加率は12.4%と、前年の5.5%から6.9ポイント上昇しています。

◆外国人を雇用する事業所数も過去最高を更新

外国人を雇用する事業所数は31万8,775所で、前年比1万9,985所増加し、届出の義務化以降、こちらも過去最高を更新しています。 対前年増加率は6.7%と、前年の4.8%から1.9 ポイントの上昇でした。

◆国籍別では、ベトナムが昨年同様に最多

国籍別では、ベトナムが最も多く51万8,364人で、外国人労働者数全体の25.3%を占めています。次いで中国39万7,918人(全 体の19.4%)、フィリピン22万6,846人(全体の11.1%)の順となっています。

対前年増加率が高かったのは、インドネシア(56.0%増)、次いでミャンマー(49.9%増)、ネパール(23.2%増)の順となってい ます。

◆在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が前年比最多の増加率

在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が対前年増加率として最も大きく59万5,904人で、前年比11万5,955人 (24.2%)の増加、次いで「技能実習」が41万2,501人で、前年比6万9,247人(20.2%)増加、「資格外活動」が35万 2,581人で、前年比2万1,671人(6.5%)の増加でした。

【厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37084.html


改正施行目前! 4月以降の労働者募集に関する注意点 (2024-02)


◆募集時等に明示すべき労働条件が追加されます

令和6年4月より、労働契約の締結時や有期労働契約の更新時に明示すべき労働条件として、「就業場所」「業務の変更の範囲」が追加される等 の改正が施行されます。既に、この改正に対応した労働条件通知書等のフォーマットが厚生労働省ホームページで示されています。

この明示すべき労働条件の追加は、求人の申込みの際に明示しなければならない労働条件としても追加されますので、注意が必要です。

◆追加される明示事項は?

具体的には「就業場所」として、「雇入れ直後」のものと「変更の範囲」を求人広告等に記載することとなります。「業務の変更の範囲」につい ても同様です。

さらに、有期労働契約を締結する場合には「有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項」(通算契約期間または更新回数の上限を含む)も 明示しなければなりません。

◆「変更の範囲」はどこまで想定して書けばよい?

特に正社員の場合、契約期間が長くなるため、営業所や部署が新設される可能性などを考慮するときりがありませんが、厚生労働省の Q&Aでは「募集等の時点で具体的に想定されていないものを含める必要はありません」とされています。

◆スペースに書ききれない場合はどうする?

求人広告などの限られたスペース内に書き入れない場合は、「詳細は面談時にお伝えします」などとしておき、一部を別途のタイミングで明示す ることも可能です。この場合、原則、面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります。

【厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/r0604anteisokukaisei1.html

4月より労災保険率の改定が予定されています! (2024-02)


厚生労働大臣は昨年12月22日に、労働政策審議会に対して「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」に ついて諮問を行いました。事業主が支払う労災保険料算出に用いる労災保険率の改定などを主な内容とするものです。12月26日、同審議会から いずれも妥当であるとの答申があったことから、同省は令和6年4月1日の施行に向け、速やかに省令の改正作業を進めるとしています。

◆労災保険率とは?

労災保険率とは、労災保険料の計算に用いられる料率のことです。労災保険率は業種によって異なり(全部で54の事業)、それぞれの業種の過 去3年間の災害発生状況などを考慮し、原則3年ごとに改定されています。建設事業などの危険な業種ほど高く、労災事故が起こりにくい業種ほど 低く設定されています。

◆労災保険率を業種平均で0.1/1000引下げへ

労災保険率の業種平均は現在4.5/1000ですが、業種平均で0.1/1000引き下げられる予定です(4.4/1000へ)。

  • 引下げ→「林業、定置網漁業又は海面魚類養殖業」「採石業」「めつき業」「金属材料品製造業」などの17業種
  • 引上げ→「パルプ又は紙製造業」「電気機械器具製造業」「ビルメンテナンス業」の3業種
  • 変化なし→34業種


◆一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率を改定へ

全25区分中、5区分で引下げとなる予定です。

  • 引下げ→「個人タクシー、個人貨物運送業者、原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業」「建設業の一人親方」「医薬 品の配置販売業者」「金属等の加工、洋食器加工作業」「履物等の加工の作業」の5区分
  • 引上げ→なし


◆請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)を改定へ

「鉄道又は軌道新設事業」「その他の建設事業」の労務費率を引き下げる予定です。

政府の少子化対策をまとめた「こども未来戦略」が決定されました (2024-02)


政府は令和5年12月22日、少子化対策をまとめた「こども未来戦略」を閣議決定しました。今後3年間の集中的な取組みである「加速化プラ ン」には、「共働き・共育ての推進」が盛り込まれています。具体的な内容は次の通りです。

◆育児休業の取得促進

  • 2週間以上の男性育休の取得率を2030年に85%へと引上げ
  • 次世代育成支援対策推進法を改正、一般事業主行動計画に数値目標の設定、PDCAサイクルの確立を定め、育休取得から円滑な職場復帰 までの支援、勤務時間や勤務地への配慮等を盛り込ませる
  • 育児・介護休業法における育休取得率の開示義務について、常時雇用する労働者数が300人超の事業主に拡充し、有価証券報告書におけ る開示を進める
  • 産後8週間以内に両親が14日以上の育休を取得した場合の給付率を手取り10割相当に
  • 代替要員確保等の体制整備を行う中小企業への助成措置を大幅に強化
  • 「くるみん認定」の取得など、育児休業の取得状況等に応じた実施インセンティブの強化


◆育児期の柔軟な働き方の推進

  • フレックスタイム制の義務化、テレワークの努力義務化…こどもが3歳まで
  • 「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」を創設…こどもが3歳以降小学校就学前まで、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の 調整、テレワーク、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、休暇から、事業主が複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択でき る制度
  • 「育児時短就業給付(仮称)」を創設…こどもが2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合、賃金の10%を支給。体制整備を行う中小企 業に助成措置を実施
  • 所定外労働の制限…こどもが小学校就学前までに引上げ
  • 子の看護休暇…こどもが小学校3年生修了時までに引上げ。休暇取得事由の見直し


◆多様な働き方と子育ての両立支援

  • 週所定労働時間10時間以上20時間未満の労働者も失業給付や育児休業給付等の受給対象者へ
  • 国民年金の第1号被保険者を対象に育児期間に係る保険料免除措置を創設。

【こども家庭庁「こども未来戦略~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」】
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/fb115de8-988b-40d4-8f67-b82321a39daf/b6cc7c9e/20231222_resources_kodomo-mirai_02.pdf


賃金改定率が過去最高に~厚生労働省実態調査から (2024/01)


◆賃上げ実施企業、引上げ額、引上げ率ともに昨年より増加

厚生労働省の令和5年「賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、1人当たりの平均賃金を引き上げた、または引き上げる企業の割合は 89.1%(前年同比3.4ポイント増)、1人当たりの平均賃金の引上げ額は9,437円(同3,903円増)となりました。平均賃金の引上 げ率は3.2%(同1.3ポイント増)で、平成11年以降で最も高い数値となりました。

同調査は、常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業を対象とし、3,620社を抽出して1,901社から有効回答を得たもので す。
産業別にみると、平均賃金を引き上げた、または引き上げる企業の割合は、「建設業」が100.0%で最も高く、次いで「製造業」が 97.7%、「電気・ガス・熱供給・水道業」が92.9%となっています。

平均賃金の引上げ額は、「鉱業、採石業、砂利採取業」が18,507円(引上げ率5.2%)で最も高く、次いで「情報通信業」が15,402 円(同4.5%)、建設業12,752円(同3.8%)となっています。

◆すべての企業が業績好調による賃金引上げとは限らない

賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素の割合をみると、「企業の業績」が36.0%で最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が 16.1%、「雇用の維持」が11.6%となっています。

本調査結果の通り、近年、賃金引上げを実施する企業が増加しています。その理由として、物価上昇への対応や従業員のモチベーション向上、人材 確保・定着などが挙げられます。しかし、賃金引上げを実施するすべての企業が業績好調による引上げとは限らず、業績は改善しないが従業員の生 活を守り、人材流出を防ぐことを狙いとして実施する企業も多いと考えられます。賃金引上げを実施する際には、政府が掲げている賃金引上げに向 けた各種支援策等を参考にしながら慎重に検討する必要があるでしょう。

【厚生労働省「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/23/dl/10.pdf


令和5年改正労基則等に係る裁量労働制に関するQ&A(追補版)が作成されました (2024/01)


厚生労働省は、今年8月に作成した裁量労働制に関するQ&Aについて、追補版を作成しました。追加された内容からいくつか抜粋して紹 介します。

◆労働者の自己申告による労働時間の状況の把握は可能

専門型・企画型において、労働時間の状況の把握方法は「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の 客観的な方法その他の適切なもの」であることが必要とされています。そのため、労働者の自己申告による把握は原則認められません。ただし、こ こでいう「労働時間の状況」の概念およびその把握方法は、安衛法66条の8の3と同一のものであるため、やむを得ず客観的な方法により把握し 難い場合においては認められます。

◆事前に協定または決議し、制度を適用しない期間後に再適用することは可能

専門型・企画型において、健康・福祉確保措置として、把握した労働時間が一定時間を超えない範囲内とすること、および当該時間を超えたときは みなしの効果が生じないこととする措置を定めた場合に、一定期間の適用をしないこととしたうえで、同期間経過後に再度制度を適用することをあ らかじめ協定または決議し、実施することは可能です。

ただし、適用しない期間は事前に労使協定の当事者となる労働者の過半数で組織する労働組合等または労使委員会と協議のうえで決定しておくこと が必要です。また、再度適用するにあたっては、適用解除後の労働者の勤務状況(労働時間の状況を含みます)や健康状態等を踏まえて、使用者が 個別具体的に再適用の可否を判断することに留意する必要があります。また、いったんは適用が解除された以上、改めて労働者の同意が必要です。

◆評価制度および賃金制度の運用状況の説明は、概要資料等の開示を想定

専門型・企画型において、裁量労働制の適用対象である「労働者に適用される評価制度およびこれに対応する賃金制度の運用状況(労働者への賃 金・手当の支給状況や評価結果等をいう。)」の開示方法は、実際に支給されている平均賃金を示した資料を開示することや、賃金水準や制度適用 に係る特別手当の実際の支給状況や評価結果等について、その分布をまとめた概要資料などを開示することが考えられます。特に適用対象である労 働者が1名の場合は、賃金額等について一定の幅を持たせて開示すること、当該労働者の値が非適用労働者と比べてどの程度多いかもしくは少ない かという相対値を示すことなどが考えられますが、労使で協議のうえ、個人が特定できないようプライバシーの保護に十分留意が必要です。

【厚生労働省「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A」】
https://www.mhlw.go.jp/content/001164350.pdf


国家公務員の男性育休取得率が初の7割に (2024/01)


◆令和4年度の国家公務員の男性育休取得状況

人事院は、仕事と家庭の両立支援のための制度等の検討に資するため、令和4年度における一般職の国家公務員の育児休業等の取得実態について調 査を実施し、一般職の男性職員の育児休業取得率が過去最高の72.5%(前年度比9.7ポイント増)だったことを公表しました。7割を超えた のは初で、4年前の平成30年度では21.6%だったことを踏まえると、ここ数年で急激な増加となっています。

◆取得期間は「2週間以上1月以下」が約5割で最多

同調査によれば、取得期間としては、男性では「2週間以上1月以下」が48.6%で最も多く、「1月超3月以下」(22.5%)、「3月超6 月以下」(9.2%)が続いています。なお、女性では「9月超12月以下」が31.2%で最も多く、次いで「12月超24月以下」 (30.3%)となっています。

◆くるみんの認定基準も厳しく

政府は2030年度までに、民間を含む男性育休の取得率を85%まで引き上げる目標を掲げています。「子育てサポート企業」として厚生労働大 臣が認定をする「くるみん」についても、2024年以降に、男性育休取得率の基準が10%から30%に引き上げられる方針です。

育児・介護休業法改正後、男性育休の取得促進についても広く知られるところとなってきました。男性の育休取得の促進は、企業にとっても人材確 保や両立支援の面から無視できない課題です。今後より一層の取組みを検討していきたいところです。

【人事院「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査(令和4年度)の結果について」】
https://www.jinji.go.jp/kisya/2311/ikukyuR5syousai.pdf